2020 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌による好中球細胞外トラップ誘導を基軸とした破骨細胞活性化機構の解明
Project/Area Number |
20J21391
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼崎 研人 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 慢性歯周炎 / 好中球 / 好中球細胞外トラップ / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病における歯の喪失は、歯周病原細菌の感染により慢性炎症がもたらす歯槽骨の破壊が原因となる。また、慢性歯周炎の歯周ポケットに集積する約9割の免疫細胞は好中球であり、破骨細胞の分化誘導は炎症性サイトカインにより促進される。本研究では、「歯周病原細菌の感染に際して好中球が産生する好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps, NETs)による破骨細胞の分化・活性化機構」の解明を目的とする。本年度は、NETsが破骨細胞分化に与える影響について研究を進めた。まず、野生型マウス好中球からのNETsの回収方法について検討を行った。PMA、calcium ionophore A23187、LPSで好中球を刺激したところ、calcium ionophore A23187で刺激した好中球より産生されたNETsでcitrullinated histone H3の高発現がみられた。次に、好中球をcalcium ionophore A23187により刺激して産生されたNETsでRANKLとともにマウス骨髄由来マクロファージへの刺激を行った。その結果、NETs刺激したサンプルでは破骨細胞数の増加がみられ、NETsが破骨細胞分化を促進することが明らかとなった。NETsに含まれるマクロファージ遊走阻止因子(macrophage migration inhibitory factor, MIF)が破骨細胞分化を促進するという仮説に基づき、同NETsのMIFをELISA法にて測定したが、発現はみられなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NETsを骨髄由来マクロファージに刺激し、破骨細胞の分化誘導を特異的に検出するTRAP染色法を指標として条件検討を進めた結果、calcium ionophore A23187誘導NETsが破骨細胞分化を著明に促進することを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果を踏まえ、以下の研究を計画している。 1) calcium ionophore A23187刺激により誘導されたNETsのどの成分が破骨細胞分化促進に働くのか同定するため、同NETsに含まれる各種サイトカイン群の発現についてサイトカインアレイ法で網羅的に解析する。 2) NETsによる破骨細胞分化機構を明らかにするため、破骨細胞の分化段階に特異的に発現するマーカーmRNA発現を指標として、リアルタイムPCR法で測定する。 3) NETsによる破骨細胞の活性化を評価するためにリン酸カルシウム固層化プレートを使用した骨吸収の評価を行う。
|