2022 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導渦糸系における非平衡相転移の探究と固体力学への適用
Project/Area Number |
20J21425
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
前垣内 舜 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 非平衡相転移 / 超伝導渦糸 / 可逆不可逆転移 / 走査型トンネル分光法 / hyperuniform / 動的秩序化転移 / モードロック共鳴法 / Kibble-Zurek機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は, 交流駆動によって起こる可逆不可逆転移(RIT)に加え, 直流駆動によって起こる動的秩序化転移についての実験も行った。 まずRITについては, 走査型トンネル分光測定で得られた交流駆動後の渦糸像に対してドロネ―解析を行い, RIT転移点近傍における渦糸配置の秩序度の変化を格子性の観点から調べた。その結果, RIT転移点に近づくと, 乱れを残しつつも格子性が増すことがわかった。また乱れを含む秩序構造の分類法として知られるhyperuniform性を評価するために密度分散と構造因子を計算し, 駆動された渦糸系におけるhyperuniform構造の検出に初めて成功した。 次に動的秩序化転移について, 特に乱れたプラスチックフローから異方的に(横方向にのみ)秩序を持つスメクチックフローへの変化を検出するために, x軸とy軸の両方向に駆動力を印加できる十字型の試料を考案し, 作製した。2段階緩和測定法, 横モードロック共鳴法および横電流電圧測定法という輸送現象測定法を独自に開発し, スメクチックフローの明確な検出と動的秩序化現象が2次の非平衡相転移であることの実証に成功した。以上の成果はPhysical Review Research誌に掲載された。 最後に, 動的秩序化転移におけるKibble-Zurek(KZ)機構を調べた。これまでのKZ機構の実証実験は平衡相転移に限られており, 本研究により初めて非平衡相転移にも適用可能であることが示された。固体力学への応用としては, 物質材料中の欠陥密度をKZ機構によって制御するという展開が考えられる。本成果の適用によって, 従来の温度に加え, 外力という新たな変数を利用した物質材料作製が期待される。以上の成果はPhysical Review Letters誌に掲載され, 同誌のEditors' suggestionに選出された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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