2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of metagenome analytical method and its application to common marmoset intestine
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20J21477
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上原 美夏 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / バイオインフォマティクス / メタトランスクリプトーム / メタゲノム / トランスクリプトーム / 共変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、消化管内での宿主と細菌叢の相互依存的な関係を明らかにするために、双方の遺伝子発現プロファイルを合わせて空間的な機能変化を捉えることを目的とした。2021年度は、主に、初年度に開発したメタトランスクリプトーム解析手法の拡張と、最終目標である宿主と細菌叢の相互作用予測に向けた準備に取り組んだ。開発した同一個体内の複数の大腸部位に適用したメタトランスクリプトーム解析手法の最大の特長は、複数の消化管部位で共通のメタゲノム配列を再構築し、未知の細菌叢遺伝子も含めて発現量を部位間で比較できる点である。本手法と既存手法のメタゲノム再構築精度を比較した結果、本手法は、従来の方法よりも正確に細菌叢ゲノムを再構築し、ボトルネックとされていた複数の部位間で対応する同一遺伝子の同定を克服した。 さらに、この利点を活かして、共変動解析に消化管の空間的情報を組み込んだ解析を実施し、研究課題の一つである未知遺伝子の機能予測を達成した。メタゲノムとメタトランスクリプトームを統合して、細菌叢未知遺伝子の予測までを行う一連の解析手法のパイプラインを構築することができた。 本課題は、最終年度までに宿主と細菌叢の遺伝子発現プロファイルを統合し、宿主と細菌叢の相互作用を予測することを目標としている。今年度は、追加でコモンマーモセット2個体を解剖し、バイオロジカルレプリケートを増やした。計5個体のコモンマーモセットの消化管部位(盲腸・横行結腸・直腸)からRNAを抽出し、NovaSeqでシークエンスした。得られたRNAリードデータは合計4,724 Mリードに及ぶ。現在は、宿主と細菌叢の相互作用予測に向けて、双方の遺伝子発現量解析および遺伝子発現プロファイルの統合パイプラインの作成に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスのまん延により、施設への立ち入りや人数制限があったため、計画通りに実験を実行することができず、研究の進捗がやや遅れている。これまでに、2021年度の研究実施計画に記載した宿主のトランスクリプトームプロファイルの取得、および、細菌叢と宿主消化管細胞の遺伝子発現プロファイルの統合を完了した。細菌叢と宿主消化管細胞の相互依存関係の予測については、現在、取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細菌叢と宿主の相互作用を予測するため、細菌叢と宿主の遺伝子発現プロファイルを統合した情報解析パイプラインを構築し、そのコードをGitHubなどで公開する。このパイプラインをコモンマーモセット消化管における細菌叢-宿主の相互制御関係の予測に応用する。さらに、細菌叢と宿主の相互作用を解釈するために双方の遺伝子の共発現ネットワークを作成し、密に相互作用している細菌叢と宿主の遺伝子セットの抽出に取り組む。
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Research Products
(1 results)