2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the water ion thruster for deep space exploration
Project/Area Number |
20J21587
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安宅 泰穂 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | プラズマ / イオンスラスタ / 小型衛星 / マイクロ波プラズマ / 水プラズマ / 推進機 / 静電加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当研究員が昨年度に実施した電位分布による性能向上の現象解明及び実機への搭載に重きを置いて研究を進めた.昨年度に実施された外部電源による電位分布付与により,水イオンスラスタの引き出し電流は 2倍に向上した.放電室内部に電位分布を付与する研究自体は医療用イオン源や他のキセノンイオンスラスタで実施されてきたが,詳しい現象解明はなされていない.また本研究で見られた引き出し電流の 2 倍もの向上はほかの研究においては確認されていない. 本年度は,電流の向上の要因は生成されたイオンのうち下流に輸送されるイオンの割合が増えたことも影響していることを測定した電流値から明らかにした.私は輸送割合の増加は放電室内部のプラズマの空間電位分布が変化したためと考えている.本研究で取り扱うプラズマ源はプラズマ密度が小さく,系の長さに対するプラズマの代表長が大きい.壁面の電位により空間電位分布が変化しうる.また本年度は実機搭載に向けて,外部電源を用いずに抵抗を用いて同様の電位分布をパッシブに生じさせる方法を考案した.外部電源を用いないことで実機搭載時の体積の減少及び推進系の簡素化が期待できる.抵抗を用いた電位分布発生コンフィグの実装及び実験による性能取得に取り組んだ.実験では,抵抗値の変化により放電室内部の電位分布が変化し,引き出し電流値の増加が確認された.この成果により電位変更スキームの実機搭載の実現に大きく近づいたといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電位変更のスキームに関して実機搭載を見越した抵抗によるパッシブなスキームを提案し,実験により性能向上を確認した.これにより電位変更スキームの実機搭載に大きく近づいたといえるため.
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Strategy for Future Research Activity |
探針電極を下流方向より水イオンスラスタ内部に挿入し,プラズマパラメータの測定を行う.安定した測定が可能であれば,壁面電位を変化させた際のプラズマパラメータの変化を取得する.これにより壁面電位による性能向上の原因を明らかにする.電極が系を大きく乱し,安定した測定が難しいようであればポテンシャルアナライザを用いたイオンのエネルギー分布測定を行う方針に切り替える.
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