2022 Fiscal Year Annual Research Report
多重計算を用いた半導体中での水素機能に関する系統的理解
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20J21608
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
角田 直樹 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 半導体 / 酸化物 / 水素 / 点欠陥 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体中の水素不純物は、キャリア生成及びキャリア補償の主な原因であることが知られている。結晶中で多様な振る舞いを示す水素の安定性や微視的な状態を理解するには、第一原理計算を用いたシミュレーションが有用である。本研究では、第一原理計算により、数百規模の半導体材料、特に酸化物中の水素不純物に対して系統的な計算を行い、結晶中の水素の振る舞いに関する普遍的な理解を目的とする。 本年度前半は、昨年度に行った格子間型の水素不純物に関するハイスループット計算に加え、酸素サイト置換型のモデルを考慮してその一連の計算を追加した。最終的に900種類程度の酸化物における、格子間の三つの電荷状態(+、0及び-)と、酸素サイトのヒドリドイオンの四種類の状態についての計算データを得た。これらのエネルギー、電子状態及び局所構造の解析を行った結果、様々な酸化物の水素不純物形成エネルギー及び電荷遷移準位(+/-)の違いは、ホストの酸化物の電子構造や静電ポテンシャル等によって概ね説明できることが分かり、水素の振る舞いに関する理解が深まった。また、得られたプロトン形成エネルギーを基に、p型半導体の候補の探索を行った。有望と思われる酸化物について更なる検討を行った結果、空孔形成エネルギーの観点からn型ドーピングは比較的容易であるものの、p型ドーピングは難しいことが示唆された。 本年度後半は、得られた形成エネルギーと電荷遷移準位(+/-)についての線形回帰モデル及びランダムフォレスト回帰モデルを構築した。その結果、形成エネルギー及び遷移準位については手法間の予測精度の差が小さく、線形のモデルで概ね表現できることが分かった。また、得られたモデルの重要な記述子を解析することで、酸化物における水素不純物の振る舞いの傾向を議論する上で有益となる知見を得た。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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