2022 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンと日本の初等教育機関を通じたトランスナショナルな子どもの生活保障
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20J21668
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本間 桃里 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 教育と福祉 / 移民 / インフォーマルな学校 / 夜間中学校 / 質的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
パンデミックにより、日比の初等教育機関の比較という当初の計画から変更し、これまで日本国内の異なるフィールドから当該研究のテーマである、移民の子どもの教育と福祉について検討をおこなってきた。2022年度は、フィリピン系の子どもたちが通うインフォーマルな(無認可の)学校での調査 (2022年2月から週に2日) と公立夜間中学校でのフィールド調査 (2021年5月から週に1日) を実施した。特に、インフォーマルな学校での教職員への聞き取りを土台に、日本で非正規滞在の状態にある子どもが90年代後半から現在にかけて公教育からどのように排除されてきたのか、教育システム/出入国管理システム/福祉システムとの相互作用から明らかにしてきた。また、食糧配布を通じた移民家庭への聞き取りも2020年度から継続しており、貧困やDV、児童虐待といった福祉と関連する様々な案件に、弁護士や移民コミュニティと連携しながら取り組んできた。そのなかで非正規滞在の移民労働者が直面する問題も顕在化し、日本社会学会で報告をおこなった。具体的な案件に関わることで、複雑な現実に即した社会学的研究の構築に寄与できる。 このように、教育の枠組みを超えて、福祉や入管といったそれぞれのシステムの関連を視野に入れて移民の児童生徒が置かれている状況を捉え直すことができたことが、本研究課題の大きな収穫であったといえる。公立小学校、公立夜間中学校、インフォーマルな学校といった異なるフィールドで調査を行うことで、児童生徒の多様な経験を聞き取ることができたと同時に、教育システムをより包括的に考察することができた。現在、これらのフィールド調査や聞き取り調査で得た知見を論文としてまとめているところである。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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