2022 Fiscal Year Annual Research Report
マルチオミクス解析による社会寄生アリのコロニー創設に関わる分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20J21677
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩井 碩慶 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 社会性昆虫 / 社会寄生 / トゲアリ |
Outline of Annual Research Achievements |
アリ類は高度な分業制に基づいた社会構造をもつ真社会性昆虫である.アリ類の中には,他のアリ種が持つ巣や労働力の一部,もしくは全てに依存することで生活をする社会寄生種が存在する.本研究では社会寄生種トゲアリを対象に,アリ類における社会寄生の進化背景の理解を目指している.22年度はトゲアリ新女王や非社会寄生種であるクロオオアリの新女王を対象に,コロニー創設の初期プロセスにおける網羅的な遺伝子の発現量解析を実施した.その結果,クロオオアリのような独力でコロニー創設を可能とする種では卵巣発達に関わる遺伝子が営巣前から高発現であるのに対し,トゲアリでは宿主との接触が本遺伝子の発現上昇に関わっていることが明らかとなった.この宿主に依存した卵巣発達プロセスこそが社会寄生戦略に関わっていると考えており,今後遺伝学的アプローチからその詳細な検証を進めていく予定である.また昨年度はトゲアリ新女王が行う巣仲間識別物質の偽装機構を初めて解明することに成功し,本知見を査読付国際学術誌『Frontiers in Ecology and Evolution』にて発表した(Iwai et al., 2022).さらにトゲアリから得られた数種の細菌に関するコンプリートゲノムのシーケンシングも実施し,本成果を共同著者として国際学術誌『Microbiology Resource Announcements』に発表した(Ishikawa et al., 2022).これらの研究により,トゲアリが行う社会寄生戦略の一端を解明することに成功したと考える.
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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