2020 Fiscal Year Annual Research Report
対称性指標に基づくトポロジカル超伝導体探索指針の提案と候補物質データベースの構築
Project/Area Number |
20J21692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 清志郎 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | トポロジカル超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質探索に向けた理論・計算手法を整備した. まず, 超伝導体に対する対称性指標理論を塩崎謙氏(京大基研)・Hoi Chun Po氏(MIT)と確立した. これは, 対称性の表現・常伝導相の占有バンド数・超伝導秩序変数の対称性のみでトポロジーを判定することを可能にするため, 実際の超伝導体のトポロジカルな性質を判定することに対して非常に強力な処方箋である. さらに, 塩崎謙氏とともに, 波数空間の線上に固定される超伝導ノード構造の完全な分類理論を確立し, 実際に分類をした. 対称性指標理論を適用するためには, 「適合条件」と呼ばれる必要条件を満たす必要があるが, 実際の物質ではしばしばこの条件は満たされていない. そのような場合には超伝導ノードが必ず出現する. そこで本研究では, 適合条件が満たされていない場合の超伝導ノード構造を完全に分類することに成功した. そして, 実際の物質においてノード構造を判定するアルゴリズムも提案した. 最後に, 松ヶ谷明史氏(東大), 野村悠祐氏(理研), 渡辺悠樹氏(東大)とともに密度汎関数計算によって常伝導相の既約表現と占有バンドの数を得るプログラムを構築した. 実際の物質において理論的にトポロジカルな性質を判定するためには, 密度汎関数理論計算が強力である. Quantum ESPRESSOの既存パッケージは空間群全てに対応していなかったため, 本研究で新しいパッケージを構築し, 公開した. これにより, 来年度の物質探索に向けた準備が完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
物質探索に向けた理論・計算手法を完全に整備することができたため. 対称性の表現・常伝導相の占有バンド数・超伝導秩序変数の対称性のみでトポロジーを判定する理論を塩崎謙氏(京大基研)・Hoi Chun Po氏(MIT)と確立した. さらに, 塩崎謙氏とともに, 波数空間の線上に固定される超伝導ノード構造の完全な分類理論を確立し, 実際に分類をした. これにより, 来年度の物質探索に向けた理論的道具の準備が完了した. さらに, 松ヶ谷明史氏(東大), 野村悠祐氏(理研), 渡辺悠樹氏(東大)とともに密度汎関数計算を行い , 常伝導相の既約表現と占有バンドの数を得るプログラムを構築した. これにより, 数値計算手法も確立した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで構築した理論を物質探索に適用する. データベース上の無機物質に対して, 網羅的にトポロジカルな性質を調べる.
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