2021 Fiscal Year Annual Research Report
対称性指標に基づくトポロジカル超伝導体探索指針の提案と候補物質データベースの構築
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20J21692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 清志郎 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | トポロジカル超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度までに確立した「対称性指標理論」と「適合条件に基づく超伝導ノードの分類理論」の2つ理論を実際の物質に適用した。前者は、対称性の表現・常伝導相の占有バンド数・超伝導秩序変数の対称性のみでトポロジーを判定することができる理論であり、後者は波数空間の線上に固定される超伝導ノードの有無・形状を系統的に分類する。実際の物質にこれらの理論を適用するには、常伝導相のバンド構造の各既約表現の数と超伝導秩序対称性がインプットとして必要である。前者については密度汎関数理論計算によって得ることができる。一方で、後者は理論的に計算することが困難なため、対称性から実現しうる候補全ての可能性を考慮して計算した。このように可能な候補を網羅的に計算することで、実験結果と整合しない候補を除外することが可能となる。
南京大学の2人の研究者に、データベース上の物質に対して密度汎関数理論計算を行ってもらい、常伝導相のバンド構造の各既約表現の数から、それらの物質が超伝導になった際のトポロジカルな性質を予言した。これらの結果をデータベースにまとめ公開されている。また、密度汎関数理論計算結果をアップロードするだけで研究で使用した理論スキームを使用できるウェブサイトも公開した。このウェブサイトを使うために必要な密度汎関数理論計算結果のデータは、昨年度に発表したプログラムqeirrepsによって作成できる。これらの成果は、今後のトポロジカル超伝導体の探索研究に貢献すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究が順調にすすみ, 来年度にする予定であった研究を本年度に前倒して実行することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
対称性指標理論は, すべてのトポロジカル相の一部しか検出することができない. そこで, 今後はすべてのトポロジカル相の分類理論と検出理論を構築していくことを目指す.
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