2020 Fiscal Year Annual Research Report
統計モデルを用いたマインドワンダリングの気づきの認知神経メカニズムの段階的解明
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20J21743
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
品川 和志 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | マインドワンダリング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,日常の多くの時間を,現在取り組むべき思考とは無関係な思考に費やすことが知られており,このような現象はマインドワンダリングと呼ばれる(Mind wandering: MW)。本研究の目的は,MWに気づくプロセスを段階的に解明することである。本年度は,将来的に研究目標達成に必要となる,題無関連思考を含む時々刻々と変化していく思考状態を調査する手法について集中的に研究を行った。 MW研究では,課題中にランダムなタイミングで,その時点での思考内容を問うプローブを提示し,MWを捉える。そのため,思考プローブは,参加者の思考状態の正確な測定において非常に重要である。これまでの手法では,思考状態を,課題集中あるいは課題無関連思考集中に二分するものが主流であった。しかし,人間の試思考状態は常にどちらかの思考に分類されるものではなく,複数の思考状態が共存することが考えられる。この点について検討したところ,実際に複数の思考状態が共存しているという主観報告が得られた。一方で,主観報告が得られた背後の状態を推定すると,従来の手法同様,課題集中,MW,両者の中間という思考状態が推定された。実際に複数の思考状態の共存は起きるが,大半の時間を占める思考状態の中には含まれず,従来の手法であっても,思考状態を十分捉えているということが示唆された。 また,MW研究では,その思考内容を検討するために,内容の時間方向や,含まれる情動価など複数の質問への回答を求める。その際,複数の選択肢の中から選択を強制しているため,質問に対して無理に回答され,データ内のノイズとなることが考えられる。そこで,思考内容への質問に対してどれくらいの割合で回答することができないのかを検討した結果,全質問に対して約15%が回答不可であり,これまでの研究においても,同様の確率でノイズが含まれている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により,感染症対策の観点から,実験実施が困難である期間が続いたため,当初の予定を大きく変更し研究を行うこととなった。実験を行うことのできない期間を有効に活用するために,将来的に研究目標達成につながるような,調査研究やレビューを中心に研究を進めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に行うことのできなかった実験を中心に,研究を進める。しかし,新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず,実験実施が困難になる場合は,昨年度同様,調査研究など,非接触型の実験を中心に行い,将来的な研究目標達成につなげる。
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Research Products
(1 results)