2020 Fiscal Year Annual Research Report
微粒子の異方性を活用した新規ゲル微粒子集積システムの開発
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20J21790
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
本田 健士郎 信州大学, 総合医理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | コロイド粒子 / ハイドロゲル / 気水界面 / ゲル微粒子 / 自己組織化 / 異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究活動において、(1)楕円コア微粒子の高収量化検討と(2)コアシェル型ゲル微粒子のシェル層の特徴の制御について検討を行った。 (1)楕円コアの高収量化検討:申請年度1年度目開始時の達成目標として、楕円状ポリスチレンコア微粒子の高収量化を行い、それらを鋳型とした楕円状ゲル微粒子の開発を掲げた。まず一つ目の手法としてエレクトロスピニング法による微粒子の延伸を行った。ポリスチレンの良溶媒であるトルエンを微粒子内部にしみこませることで、変形可能な状態へと変化させ、射出時のせん断力で変形を試みたところ、微粒子としての形状を保てず、微粒子内部に空洞が形成することが明らかになった。微粒子としての形状を維持するために、微粒子内部へスチレンと類似した骨格を有するジビニルベンゼンを共重合し架橋させたところ、同様に空洞が形成するだけでなく、変形する微粒子数が減少する結果となった。 (2)コアシェル型ゲル微粒子のシェル層の特徴の制御:楕円形状コア表面に導入するハイドロゲル層は、その厚さ、架橋度に応じてゲル微粒子としての特徴が異なると考えられる。しかし、従来のシード沈殿重合法では導入可能な最大の厚さ、架橋度の制御範囲が不明確であった。そのため、楕円コア微粒子の高収量化を達成した際に、狙ったゲルシェル層を設計可能にするため、まず球状コアを用いてゲルシェル層の特徴の制御を検討した。本検討において、ゲルシェルモノマーを一括で添加するバッチ法では、導入可能なシェルの厚さが200 nm程度で限界に達することや、シリンジポンプを用いてモノマーを連続的に添加するフィード法では、500 nm程度までゲルシェル層を成長できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度において、楕円コアにゲルシェル層を複合化した異方性ゲル微粒子を開発する計画を立てていたため、進捗状況としてはやや遅れている。本年度は、楕円形状ゲル微粒子を開発する際のシェル層の合成に着目し、まずは球状コアを対象にシェル層の構造を制御する検討を行ってきた。従来のシェル層導入法では、ゲル層の厚さに限界があることを明らかにし、そこから得た仮説の下、より広範囲にシェルの構造を制御できる手法を見出しつつある。具体的には、モノマー、架橋剤をシリンジポンプで一定量ずつ滴下する事で、固体状表面を有する微粒子に複合化する量を増大させるアプローチである。本検討について、国内での学会発表、国際学会にて討論した。 楕円状ポリスチレンコア微粒子の作製について、実験計画に基づきエレクトロスピニング法で高収量化を試みたが、従来の膜延伸法とは異なり形状の揃った微粒子が得られなかった。楕円状コア微粒子高収量化の他の戦略として計画していた、連続延伸が可能な膜延伸装置の導入を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、膜延伸装置の改良により、楕円状コア微粒子の高収量化を達成する。具体的には、加熱、延伸、冷却の一連の工程を連続的にできる膜延伸装置を作成し、膜延伸過程を自動化する。得られた楕円形状コアに対し、1年目で培ったゲルシェル層の導入法を活用することで、ゲルシェル層の厚さや柔らかさなどの特徴を制御し、楕円形状ゲル微粒子の気水界面における自己組織化検討へと移行する。
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