2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J21812
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
清水 宏 東京都立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 遷移金属カルコゲナイド / ナノワイヤー / 一次元電子系 / 化学気相成長法 / インターカレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、異種元素をインターカレーションした遷移金属カルコゲナイド(TMC)原子細線の構造解析及び電子輸送特性についての研究を行った。以下の二点が主要な成果となる。 ①構造解析: WTe原子細線を化学気相成長で合成し、その後、400~500℃でインジウムの蒸気にさらすことでインターカレーションを行った。このIn-WTe試料を、細線の軸方向に垂直に切断し、その断面を電子顕微鏡で観測した。電子顕微鏡像より、隣り合うWTe細線の間にインジウム原子が充填されていることが明らかとなった。またインターカレーションにより、隣接する原子細線同士の距離が増加していることを確認した。ラマン分光測定から、WTe細線がインターカレーション前後で異なる振動ピークを示すことを観測した。これらの変化は、隣接する細線間にInがインターカレーションされたことによる、結晶構造の対称性の変化で説明される。 ②電子輸送特性:インターカレーション処理したIn-WTe試料に対し、フォトリソグラフィーを利用してIn/Au電極を作製した。300Kから100~30Kの高温領域において、処理前と同様、温度の減少とともに抵抗が減少する金属的な特性を示す。一方100~30Kから1.9Kの低温領域では温度の減少とともに抵抗が増加する。特に、処理前のWTe試料と比較して抵抗がより大きく増加することが分かった。これらの傾向は、複数のIn-WTe試料で再現性良く確認された。さらに1.9Kの低温では、磁場の印可により磁気抵抗が減少する弱反局在効果的な特徴が観測された。 上記の成果はACS Nano誌に掲載されている。今後、様々な金属原子のインターカレーションにより、新たな三元系TMC原子細線の実現や、その物性・応用研究への展開が期待される。以上の理由より、予想以上の進展があったといえる。
|
Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|