2020 Fiscal Year Annual Research Report
不確実データを含む多目的最適化問題に対する効率的解法の開発と多クラス判別への応用
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20J21961
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 広樹 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 多目的最適化問題 / メリット関数 / 近接勾配法 / 加速法 / 大域的収束率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,不確実データを含む多目的最適化問題に対してパレート解を高精度に列挙できる降下法を開発し,それを用いて,直観的に利用可能かつ高い汎化性能を有する多クラス判別手法を開発することを3か年の目的としている.本年度の目的は,新たな手法の開発・解析を通し,多目的最適化問題に対する降下法の有効性を高めることであった.本年度の研究成果を以下に示す. 1 与えられた多目的最適化問題と等価な単一目的最適化問題の目的関数である「メリット関数」を,目的関数が連続の場合,凸の場合,微分可能な関数と凸関数の和である場合のそれぞれに対して新しく提案した.また,それらが,計算可能性,連続性,微分可能性,レベル集合の有界性,エラーバウンド性などの望ましい性質を合理的な仮定のもとで持つことを示した. 2 多目的最適化問題に対する近接勾配法の収束率を,1のメリット関数を用いることにより,目的関数が非凸,凸,強凸の三種類の場合についてそれぞれ示した.加えて,単一目的最適化問題に対するPL条件を多目的最適化問題に対して拡張し,この条件のもとでの多目的近接勾配法の一次収束性を示した. 3 単一目的最適化問題に対する近接勾配法の加速化手法である FISTA (Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm)を多目的最適化問題に対して拡張し,合理的な仮定のもとでその収束率を示した.また,Pythonを用いた数値実験により,提案手法の有効性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は,新たな手法の開発・解析を通し,多目的最適化問題に対する降下法の有効性を高めることであった.その目的は概ね達成された.特に,3の成果については,提案手法にとりわけ斬新なアイデアが用いられていることから,連続最適化分野におけるトップジャーナルへの採択が期待される成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
近接勾配法の加速化手法であるFISTA (Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm)について,アルゴリズム中の加速パラメータの一般化を行うことで,性能向上および大域的収束性に関する理論的な証明が可能になる見込みがある.この内容にについて,さらなる研究を進める予定である.
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