2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the sperm histone modification which changes in aging and influences the phenotype of the next generation
Project/Area Number |
20J22054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舘花 美沙子 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 加齢 / 精子 / エピゲノム / アデノ随伴ウイルス / 自閉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者は、加齢雄マウスの精子形成過程で変化するヒストン修飾を同定し、同様の傾向が精子にも引き継がれる可能性を示したが、これらのヒストン修飾変化が次世代の表現型へ影響する「原因」となりうるのか、単なる老化の「結果」なのかは明らかではなかった。 そこで、精巣内でのヒストン修飾酵素遺伝子のノックダウンおよびアップレギュレーションを行い生殖細胞特異的にヒストン修飾の加齢型変異を誘導するために、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いて精巣内で生殖細胞特異的にターゲット遺伝子の発現を制御する方法を確立することを試みた。AAV作製・精製、精細管へのインジェクションなど種々の技術を身につけ、高タイターのAAVを作製し精細管へインジェクションすることによって、精巣内の細胞に感染させることに成功した。 現在は精巣内の体細胞で強く感染がみられており、生殖細胞への感染率を上げるため、プラスミドに生殖細胞特異的なプロモーターを組み込むなど、さらなる改良を行っている。これまでに、生殖細胞特異的なプロモーターを用いて感染効率を上げるというアプローチはなされていないため、この系が有効であれば、今後精巣でより効率的に遺伝子発現の制御が行えるようになると思われる。この系の改良の後、当初の計画通りターゲット遺伝子のノックダウンまたはアップレギュレーションを誘導し、それによる精子形成や次世代マウスの脳の発生・発達への影響を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アデノ随伴ウイルス(AAV)を作製し、精巣の間質ではなく精細管に直接インジェクションすることによって、高確率で細胞へ感染させることを目標に実験を行った。AAVの作製は、京都大学の篠原教授に指導していただいた方法をベースに工夫を加え、安定して高いタイターのものが得られるようになった。 精巣へのインジェクションは、間質へインジェクションする技術に加え、より難しい精細管へのインジェクション技術を身につけた。 これまでの結果として、精巣内へのAAVの感染は確認できているが、生殖細胞よりも体細胞であるセルトリ細胞への強い感染が確認されている。そこで生殖細胞への感染率を上げ、さらに生殖細胞特異的な感染を目指して、プラスミドのプロモーターを種々の細胞で広く発現するものから生殖細胞特異的なものへと変えた。それにより少し改善がみられたが、まだ生殖細胞への感染効率は十分とは言えないため、さらなる改良を行っている。 これまでに、生殖細胞特異的なプロモーターを用いて感染効率を上げるというアプローチはなされていないため、この系が有効であれば、今後精巣でより効率的に遺伝子発現の制御が行えるようになると思われるが、当初の計画より長く時間がかかってしまっているため、綿密な計画と迅速な行動でさらなる改善に臨みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
高タイターのアデノ随伴ウイルス(AAV)作製・精製および精細管へのインジェクションなど種々の技術を身につけたが、今後はさらに生殖細胞特異的なAAVの感染を目指して改良が必要である。 現在は精巣内の体細胞であるセルトリ細胞への強い感染が確認されているが、生殖細胞への感染力は高くはない。そこで、プラスミドのプロモーターを生殖細胞特異的にはたらくプロモーターに変えることで、生殖細胞へ効率的に感染させる。 これまでに、精原細胞特異的プロモーターを使用してみたところ多少の改善がみられたが、さらに感染効率を上げる必要がある。そこで、今後はさらにいくつかのプロモーターに挑戦する。血液精巣関門を考慮すると、その向こう側にある精原細胞のみに限らず、精母細胞で強く発現するプロモーターが有効である可能性がある。そのようなプロモーターを組み込むことに加え、さらに感染率を上げる効果のある試薬と同時にインジェクションすることで、高確率の感染を実現する。生殖細胞特異的に感染させることができれば、この系は精巣での遺伝子発現制御に有用なものになると考えられるため、迅速に改善を進めていく予定である。
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