2021 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙大規模構造の潮汐力場と銀河形状及びダークマターハロー形状との物理的相関の研究
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20J22055
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
栗田 智貴 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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| Keywords | 宇宙大規模構造 / 宇宙論的N体シミュレーション / 原始非ガウス性 / Intrinsic Alignments |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、銀河の固有形状と宇宙大規模構造の相関（Intrinsic Alignments:IA）についての物理的性質を、理論及び観測の両面から解明することを目的としている。
今年度は主に、実際の銀河サーベイの観測データ（銀河分光サーベイから得られる銀河の三次元分布、及び銀河撮像サーベイから得られる銀河形状データ）から三次元IAパワースペクトルを測定するためのエスティメータの開発を行った。観測から得られる銀河形状のデータは視線方向に射影された成分であるが、銀河サーベイは広域の掃天観測であるため、銀河それぞれに対する異なる視線方向の効果を考慮する必要が生じる。このことは、これまで実施してきた数値シミュレーションベースの研究において簡単化のために課すことができていた、遠方観測者近似がもはや成立しないことを意味する。この問題に対して、本研究では銀河クラスタリングの分野において使用されている銀河パワースペクトルエスティメータをIAの分野に拡張することで問題解決を行なった。
さらに模擬観測データを用いて、本研究で考案した新しいエスティメータの有効性の検証を行なった。その際、比較対象の理論モデルに観測的窓関数効果を畳み込む定式化、及びその高速な数値計算手法の実装を行なった。検証の結果、開発したエスティメータの精度は大スケール（長波長領域）においても十分良く、今後、銀河クラスタリングにIAを加えた同時解析が十分可能であることを示した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究において、実際の観測データからIAに関する統計量を測定及び解析するために必要な手法を確立した。この結果を用いれば、本研究の目的である、IAを用いた宇宙論解析（特に原始非ガウス性の制限）を翌年度中に十分達成可能であると考えるからである。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で開発したIAに関する統計量（パワースペクトル）の測定及び解析手法を、実際の銀河形状の観測データに適用する。さらに測定したパワースペクトルを用いて宇宙論解析を行い、四重極子的な原始非ガウス性の振幅についての観測的制限を得ることを目的とした研究を推進する。
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