2020 Fiscal Year Annual Research Report
かんらん岩とはんれい岩の脆性変形実験に基づく海洋プレートの含水化モデルの検証
Project/Area Number |
20J22228
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
赤松 祐哉 広島大学, 先進理工系科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | 海洋プレート / 地震波速度 / 脆性変形 / クラック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主にはんれい岩とかんらん岩を用いた三軸圧縮試験に基づく海洋プレートの破壊様式の考察,およびオマーンオフィオライト掘削試料のCT像の画像解析による海洋地殻浸透率構造の推定に取り組んだ. 1.水質変成を受けたはんれい岩とかんらん岩を用いた三軸圧縮試験を行った.その結果,どちらの岩石でも,試料内部で形成されるクラックの体積が非変質のものに比べて著しく小さく,低い差応力で破壊に至ることが明らかになった.これらの結果は,はんれい岩の変形が剪断強度の低い蛇紋石や緑泥石などの変成鉱物に支配されることを示唆しており,実際の海洋地殻においても水質変成によってクラックの形成様式や強度が変化する可能性がある.この成果を学術論文として国際誌で発表した. 2.オマーンオフィオライト掘削試料のX線CTデータを用いた画像解析に基づく海洋地殻の浸透率構造の推定を行った.デジタル画像処理における特徴抽出アルゴリズムに基づいてCT像に含まれる脈状鉱物を検出し,それらの形状と流体の浸透モデルから,海洋地殻の浸透率構造の推定を試みた.その結果について,現在学術論文として国際誌に投稿準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
かんらん岩とはんれい岩の三軸変形試験に取り組み,どちらの岩石種も水質変成により強度弱化が起きることを明らかにした.これらの成果を国内の学術会議で報告し,国際誌で学術論文として発表した.一方で,含水条件における破壊実験を行った結果,変形中に形成されるクラックに水が十分に供給されていないことを示唆する結果が得られた.これは,はんれい岩の初期の浸透率が著しく低いためであると考えられる.本研究は変形中に形成されるクラックが水で飽和している状態での物性の測定が目的であるため,実験条件の改良が必要である.また,破壊実験とは別に,オマーンオフィオライト掘削試料のCT観察結果に基づき浸透率構造の推定を行い,海洋地殻内での水理特性の解明にも取り組んだ.この成果については,現在国際誌への投稿を予定している.
|
Strategy for Future Research Activity |
変形中に形成されるクラックが完全に水で飽和した状態での実験を遂行するために,予め試料に人工的に熱クラックを導入する.これにより,岩石の空隙率を増加させ,変形中の水の浸透が促進されることが期待される.上記の条件で得られた結果をまとめ,国内外の学会で発表し,外部の研究者のフィードバックを得る.それらをもとに,成果を学術論文として国際誌に投稿することを目指す.
|