2021 Fiscal Year Annual Research Report
精密宇宙論観測による原始ブラックホール探査と極小スケール原始ゆらぎの徹底解明
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20J22260
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 克哉 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 原始ゆらぎ / 原始ブラックホール / 構造形成 / 宇宙論 / 宇宙再電離 / 電波天文 / 宇宙マイクロ波背景放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2本の論文を発表した。特に、“Constraint on the early-formed dark matter halos using the free-free emission in the Planck foreground analysis” (PhysRevD.105.063531) では、小スケールにおける原始ゆらぎのパワーが標準宇宙論で予言されるものよりも強かった場合に、一般的な宇宙の構造形成史よりも一足早く形成されうる、暗黒物質ハローに着目し、これによる観測量を議論した。これらの予言と実際の宇宙論的観測結果を組み合わせることにより、小スケールの原始ゆらぎの大きさに対して制限を設けることに成功した。また、“Free-free background radiation from accreting primordial black holes” (arXiv:2108.01916 [astro-ph.CO]) では、原始ブラックホール周辺のガス降着に着目し、これによる観測量を議論した。これらの研究成果について、2021年度中に1件の国際会議と3件の国内会議で発表した。これらの会議での発表や議論をはじめとし、2021年度は議論を多数重ね、最終年度において本研究目標達成のための研究アイデアを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、小スケールにおける原始ゆらぎの大きさを徹底的に検証することを目的としている。当初の予定では、数々の検証法のうち、原始ブラックホールに特化した研究を計画していたが、2020年度からの研究により、原始ブラックホールに限定せず、様々な手法を用いることで原始ゆらぎをより強く制限できることが明らかになった。その意味で2021年度は、上述したように原始ブラックホールだけでなく、初期形成暗黒物質ハローに着目した研究を行うことで、小スケール原始ゆらぎの大きさに制限を設けることができた。また、これらの研究内容に関して、会議やセミナーでの発表を通じて周知することができた。以上より本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、原始ブラックホールに限定せず様々な手法を用いることで、本研究の最終的な目的である、小スケールにおける原始ゆらぎの大きさの徹底検証をを行なっていく予定である。
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