2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋エクソソームの生理的役割及び生活習慣がその機能性に与える影響の解明
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20J22415
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 祥 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 骨格筋 / エクソソーム / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、in vivoにおいて骨格筋が分泌するエクソソームの機能を解明することである。本研究において、骨格筋エクソソームの追跡及び単離が可能な遺伝子改変マウスを作成する。単離した骨格筋エクソソーム及び同定した輸送先臓器に対して統合的オミクス解析を実施しすることで骨格筋エクソソームが果たす生理機能の解明を目指す。本年度は、遺伝子改変マウスの作成に向けて以下の2つの研究を実施した。 1. 骨格筋エクソソームマーカーの同定 我々は、マウス骨格筋細胞C2C12及びヒトiPS細胞由来骨格筋細胞を用いて、骨格筋細胞が分泌するエクソソームのプロテオミクス解析を行った。その結果、ヒト及びマウスに共通して骨格筋特異的に発現する複数のタンパク質が同定され、これらのタンパク質が骨格筋エクソソームのマーカーとして利用できると考えられた。同定した骨格筋エクソソームマーカーを指標に運動刺激によって骨格筋エクソソームの分泌量が変動することを確認した。 2. 骨格筋エクソソーム標識マウスの作成 当初の計画ではプロテオーム解析によって同定した骨格筋エクソソームマーカーを蛍光標識することを検討していたが、体液からのエクソソームの単離効率を高めるため一般的なエクソソームマーカーに対して任意のペプチド配列、及び発光標識を付加する方法に変更した。目的とする発現プラスミドを作成し、ヒト骨肉腫細胞であるRC13やマウス骨格筋細胞C2C12にトランスフェクションを行ったところ目的タンパク質の発現を確認した。さらに各細胞から分泌されるエクソソームは単離可能であり、発光を有することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたプロテオーム解析を用いた骨格筋エクソソームマーカーとなり得るタンパク質群の同定に成功している。さらに、遺伝子改変マウスの作成に使用する目的タンパク質の発現プラスミドの作成を行い、in vitro系を用いて実験系の評価を完了した。現在遺伝子改変マウスの作成に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した遺伝子改変マウスを用いて、運動や肥満、老化といった外的刺激に対して骨格筋エクソソームの内容物の変動、及び輸送先臓器の同定を行う。骨格筋エクソソーム内の化合物群の情報と、輸送先臓器の代謝変動の情報を統合しIPAパスウェイ解析などを実施することで、有益(もしくは有害)な機能を担う生理活性物質の同定が期待される。同定された化合物が機能を果たす詳細な分子メカニズムについては、任意の培養細胞やマウスオルガノイド系に対してエクソソームもしくは化合物単体の添加実験を行うことで解明を目指す。
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