2021 Fiscal Year Annual Research Report
Biosynthesis Study of Complex Skeleton Natural Organic Compounds Derived from Filamentous Fungi
Project/Area Number |
20J22522
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白 桐暄 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 天然物生合成 / メロテルペノイド / ジオキシゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌のメロテペノイドはポリケタイドとテルペノイドの構造を持つ、多様な構造を持つ天然物群である。糸状菌メロテルペノイドspiroaspertrione Aは、独特な架橋スピロ環構造を持ち、MRSAにおけるオキサシリン耐性の強力な抑制活性をもつ化合物である。本研究では独特のスピロ-炭素環式骨格を持つ spiroaspertrione A の生合成反応中に含まれる、α-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ SptN または SptF の機能解明を目的とした。昨年度までに、in vitro 反応解析 によりSptNはandiconin D(spiroaspertrione Aの生合成中間体)をemeridone Aに変換し、SptFはandiconin Dをemeridone Cに変換することを明らかにした。本年度は、SptFのより詳細な触媒機能解析を主に行なった。その結果、SptFはその反応生成物であると思われていたandiconin Cをさらに基質として受け入れ、転位反応を含む酸化反応を触媒することにより、より複雑な化学構造を有する生成物を与えることを見出した。すなわち、SptFは他段階の酸化反応を連続的に触媒する極めて珍しい酵素であることが明らかとなった。さらには多様な化合物を基質として受け入れるSptFの基質許容性に着目し、ステロイド様分子など様々な化合物を基質として用いたところ、多くの化合物がSptFによって対応する酸化体へと変換された。これらの結果は、SptFはステロイド様分子の酸化的化学変換に有用な生体触媒になりうることを示した。さらに、SptF反応の基質特異性や構造機能相関を明らかにするため、タンパク質結晶構造解析も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りSptFの触媒機能をより詳細に解析することで、SptFが極めて高い基質許容性を有していることが明らかとなり、糸状菌メロテルペノイドspiroaspertrione類の生合成経路を明らかにするとともに、SptFの生体触媒としての有用性を示すことができたため、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに、SptNやSptFの触媒機能や基質特異性を明らかにした。今後はSptFの触媒きのとタンパク質構造の相関を明らかにするため、タンパク質結晶構造解析や変異導入実験を行う。
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