2021 Fiscal Year Annual Research Report
超高精度カーネル求積法の効率的構成及び理論の構築とその応用
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20J22570
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大城 隆之介 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | カーネル求積 / グラフ求積 / 再生核ヒルベルト空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はグラフ上の関数に対する求積公式の設計に取り組んだ.グラフ上の関数に対する求積問題とは,グラフの頂点で値を持つ関数に対し,そのとる値の平均値を計算する問題である.応用を考える上で,グラフ上の全頂点を見ずに一部の頂点だけを用いることによって求積を行いたいことがある.このときに,グラフ上の関数に対して数値積分公式を設計し,それによって積分値を近似するグラフ求積の問題が考えられる.グラフ上の関数に対する数値積分公式はグラフ上の関数の値の平均だけでなくその総和を計算する上でも重要な計算になっており,データサイエンスへの応用が考えられている.その取り掛かりとして、グラフ上の関数が属する再生核ヒルベルト空間を考えた.このグラフ上の再生核ヒルベルト空間は,Seto,Suda and Taniguchi(2014)によって提案されたものである. 本研究では,グラフ上の関数の属する再生核ヒルベルト空間に対し,カーネル求積の手法の一種である Frank-Wolfe 法とその亜種である away-steps Frank-Wolfe 法を用いることにより,グラフ上の関数に対する数値積分法を設計することを考えた.Frank-Wolfe 法による構成は理論的な数値積分の誤差評価を行うことはできないが,away-steps Frank-Wolfe 法による構成は数値積分の誤差の上階を理論的に評価できる. さらに,Frank-Wolfe 法と away-steps Frank-Wolfe 法のいずれも有効に働くことを数値実験により確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カーネル求積によるアプローチの応用の一つとしてグラフ求積の問題に取り組み,その結果Frank-Wolfe法とその亜種を用いることによるグラフ求積の手法を新たに考案することができ,またその成果を論文に取りまとめ,採択されるに至ることができた. カーネル求積の諸分野への応用への取っ掛かりとなるような成果を得られたと考えている. 一方,カーネル求積の手法自体のさらなる精緻化という大きな取り組みでみると現状大きな進捗は得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
グラフ求積の他手法の検討を試みる.応用上グラフ求積は考える意義があるものではあり,また,そのグラフの構造によって手法の向き不向きがあると考えられる.実際,今回の研究でもグラフの構造を反映した誤差の評価が得られた.したがって,様々な構造のグラフに対して有効なグラフ求積法を考えるために,これまで培ってきた数値積分手法の知見を生かした新たな手法を考えていく必要がある.本年度は新たなグラフ求積法を模索していきたいと考えている.
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Research Products
(2 results)