2021 Fiscal Year Annual Research Report
BMIデコーディング高精度化に向けた神経活動の局所的計測に基づく広域活動推定
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20J22686
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朝比奈 昂洋 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / 神経科学 / 脳・神経 / 電極アレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,脳活動を計測することで外部機器を操作するBrain-Machine Interface (BMI)技術における,神経活動の読み取り・解読(デコード)性能の向上を背景とし,限られた計測範囲内の神経活動からより広範囲の神経細胞集団の状態推定を目的としている.直接計測されない神経活動をデコードに利用することができれば,より多くの神経細胞の情報を利用可能となることでデコード性能が向上すると考えられる. 令和4年度までに実施を計画していた研究課題「推定手法を併用した神経活動デコード」を実施した.1024点での同時記録が可能な高密度微小電極アレイ上に培養したラット神経細胞に,光遺伝学を利用して複数パターンの刺激を印加した.誘発された活動から刺激の情報をデコードし,上記の神経細胞集団の状態推定手法をデコード時に併用することでデコード精度が向上することを示した.以上の研究成果をまとめ,学会で発表した(電気学会 電子・情報・システム部門大会,2021年9月). また,培養神経回路網を利用する研究計画から発展し,サルのBMIデータを利用した研究を実施した.データ論文として公開されているサルBMIデータセットを利用し,神経細胞集団の状態推定手法により神経活動から腕の運動をデコードした.一次運動野の神経活動データから上記推定手法により高次運動野の活動を推定し,デコードに活用することでその精度が向上することを示し,推定手法のサルBMIにおける有用性を示した.以上の研究成果は学会で発表した(電気学会 医用・生体工学研究会,2022年3月).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年度までに計画していた研究課題「推定手法を併用した神経活動デコード」について,HDMEAと光遺伝学を利用することで実験をおこない,神経細胞集団の推定手法によってデコード精度が改善するという成果を得た.さらに,当初の計画を超えて実際のサルBMIデータでの手法の検証を進め,サルのデータにおいてもデコード精度が向上するという成果を得た. 当初予定していた培養系における実験を令和4年度に予定していた内容の一部まで進めたことに加え,サルというin vivoデータでの成果を得ており,現在までの進捗状況は当初の計画以上に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度にはまず,当初計画していた研究課題「培養神経回路網の自発活動からのパターン分類」に着手する.生体が意識など内部状態により活動する場合を想定し,培養神経回路網の自発活動を高密度微小電極アレイにより記録し分類する.培養神経回路網が元々持つ自発活動パターンおよび刺激による学習の結果得られたパターンを対象とし,神経細胞集団の推定によりこれを観察する.高密度微小電極アレイの培養基板部分および培養細胞(実験動物・培養液等)は消耗品であり,また信頼性を確保するために複数回の実験が必要であるため研究経費で購入する.さらに発展として,自発活動および光遺伝学を用いた誘発応答の観察を通じて,神経細胞集団の活動ダイナミクスに関する知見を収集する. また,さらなる推定精度向上を目指し,神経細胞集団推定手法を改善し評価する.メゾスケールモデルでの活動記述をこれまでより高次元な空間上に変更し手法に統合することで,神経細胞集団の活動の時間発展をより高精度に予測し推定精度を向上させる.また,これまでに構築したシミュレーション系および高密度微小電極アレイ上に培養した培養神経回路網を用いて推定精度およびデコード精度改善を評価する.
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Research Products
(8 results)