2020 Fiscal Year Annual Research Report
コンピテンシーを育成する形成的アセスメントの理論と実践
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20J22742
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 智敬 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | スタンダード準拠評価 / 形成的アセスメント / ルーブリック / 鑑識眼 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、高次の学力を対象とする学習評価の在り方(理論的側面)に焦点を合わせて研究を進めた。本研究が論究した問いは、端的に言えば次の2つであった。 (1) 評価の方法論に関する問い「複雑で高次な学習成果は、どのように評価できるのか(すべきか)」、(2) 評価と学習の関係に関する問い「複雑で高次な学習文脈において、学習の改善に活きる評価はどのようなものか」。今年度は、スタンダード準拠評価論や形成的アセスメント論の開拓者でありながら、そのラディカルな批判者でもあるロイス・サドラーの教育評価論に対する批判的検討を中心的に行い、以上の問いについて模索した。第一に、(1)のテーマに関する研究成果については、「スタンダード準拠評価の成立と新たな展開」と題した研究論文を雑誌『カリキュラム研究』にて公表した。これは、人の質的判断を重視するスタンダード準拠評価の方法論(ルーブリックの在り方を含む)について検討するものである。この考え方は、高次で複雑な学習成果を評価する上で中心な役割を担うものである。第二に、(2)のテーマに関する研究成果については、「ロイス・サドラーによる形成的アセスメント論の検討」と題した研究論文を雑誌『教育方法学研究』にて公表した。これは、特に複雑で高次な学習の文脈における形成的アセスメントの方法論について検討したものである。なお、これらの論文以外にも、本研究課題に関する研究成果を研究論文としていくつか公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当該分野における代表的な学術誌『カリキュラム研究』と『教育方法学研究』に研究論文をそれぞれ投稿し、査読審査の上2本ともに掲載されることとなった。これら2本の研究論文は、本研究課題の基礎部分としてとりわけ重要なものである。加えて、学校等における評価実践についてのアクション・リサーチが順調に進行していたり、エビデンス論などの関連領域における研究論文もいくつか発表したりすることができた。以上より、今年度は年度当初の想定以上に進捗を生み出すことができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果を土台として、今後は、上述した研究上の2つの問い、(1) 評価の方法論に関する問い「複雑で高次な学習成果は、どのように評価できるのか(すべきか)」、(2)評価と学習の関係に関する問い「複雑で高次な学習文脈において、学習の改善に活きる評価はどのようなものか」に関連するテーマ(ルーブリック、学習者の目標理解など)についての理論的検討をさらに進めていく予定である。また、引き続き、形成的アセスメント実践に関するアクション・リサーチにも取り組んでいく。以上を通して、新たな形成的アセスメント論の可能性を模索していきたい。
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