2021 Fiscal Year Annual Research Report
超高効率実行を実現する距離指定型命令セットアーキテクチャの研究
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20J22752
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小泉 透 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 計算機アーキテクチャ / 命令レベル並列性 / アウトオブオーダー実行 / 最適化コンパイラ / プリフェッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究成果は、大きく分けて、(1)最適化コンパイラの機能向上及びコード生成クオリティの向上、(2)ハードウェア命令スケジューラの簡素化に関する詳細な評価、(3)プロセッサ全体のスケーラビリティの評価、(4)命令・データ供給方法のスケーラビリティの改善、の四点である。
(1)距離指定型命令セットアーキテクチャの性能を測定するため、C++で書かれたベンチマークプログラムをコンパイルできるように最適化コンパイラの開発を進めた。これにより、SPECに含まれるC++で書かれたベンチマークプログラム3つを動かすことに成功した。また、昨年度判明した課題であった機能を最適化コンパイラに実装した。具体的には、呼び出し先保存レジスタの実装およびレジスタスピル決定戦略の改善を行った。 (2)命令をランダムな順番で格納するのではなく先入先出の順序で格納する命令スケジューラを使用した場合の性能特性を詳細に評価した。さらに、複数のレジスタ群を持つ命令セットの場合に適した命令スケジューラの構成を机上検討し、一部ハードウェア化に適さない仕様を命令セットから取り除くフィードバックを行った。 (3)既存のRISC-Vプロセッサのハードウェア実装を改造し、同時処理命令数が最大4倍の距離指定型アーキテクチャのハードウェア実装を作成した。これを用いて距離指定型アーキテクチャは特にリネーム回路についてプロセッサのスケーラビリティが向上していることを確認した。またベンチマークを動作させた結果、元実装と比べて約2倍の性能を達成した。 (4)本研究が対象としている高性能プロセッサにおいてコアへの命令・データの供給が滞らないようにするため、適時にプリフェッチを行う技術を命令・データそれぞれについて確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、以下の項目を達成することができた。(1)SPEC CPU 2017ベンチマークをコンパイルできる最適化コンパイラを作成し見えてきた課題の解決。(2)距離指定型アーキテクチャのCPUをFPGAに実装し、性能評価およびスケーラビリティの確認。
それに加え、プロセッサに命令・データを滞りなく供給するプリフェッチ技術を確立し、また性能に直結する要素を抜き出したモデルの理論を打ち立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
SPECベンチマークを用いた評価で明らかとなった改善点を含め、最適化コンパイラの洗練を引き続き行っていく。 並行して、複数の距離指定型命令セットアーキテクチャのHDL実装を行い、FPGA・実チップ上でのベンチマーク動作を実現し、電力評価を行う。
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Research Products
(8 results)