2020 Fiscal Year Annual Research Report
p進コホモロジー論を用いた相対モチーフ理論と代数的K群の研究
Project/Area Number |
20J22797
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 圭峰 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | モチーフ理論 / 非可換代数幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本特別研究員の今回の研究成果として,整係数Grothendieck-Riemann-Roch理論の証明とそれを用いた整係数導来不変量の結果が挙げられる. 本特別研究員は,整係数Grothendieck-Riemann-Roch理論を,任意の標数に拡張した.その結果,標数と互いに素な素数lに対して,偶数次数,奇数次数の整係数l-進エタールコホモロジーや,偶数次数,奇数次数のBettiコホモロジー群のある捻じれの情報といった,様々な導来不変量を新たに構成した.この仕事は数論や代数幾何学の分野に応用を与えた. ミラー対象性の研究への応用として,偶数次数,奇数次数のBettiコホモロジー群のある捻じれに関する結果を用いて,Batyrev-Kreuserの予想の修正版を考案し,また自然数mが2,3,5,7と互いに素な時に,代数曲面に対して,その基本群のm-捻じれが導来不変であることを示した.この研究は,今まで解明が進んでいなかった基本群と導来圏の関係に,様々な示唆をあたえるものである. またこれまで3次元以下の多様体にのみ証明されていた,Hodge-Witt還元が導来不変であるという主張を,標数が十分大きい場合に,任意の次元で更にordinaryの場合で解決した.この結果は,異なる極小モデルが同様なコホモロジー論的性質を持つことを示唆しており,双有理幾何学の分野でも興味深い結果である. 数論への応用として,p-進ホッジ理論と非可換代数幾何学に関する結果を用いて,射影平面を含むような3次4次元多様体に対して,Serreのordinary還元の密度予想を証明した.これら一連の結果は,大阪大学代数幾何セミナー等で発表を行った. また,相対モチーフのGysin列に関する結果が,国際論文雑誌Journal of the Instituteof Mathematics of Jussieuにて掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
整係数Grothendieck-Riemann-Roch理論を用いて,非可換な整係数不変量とモチーフ理論を結びつける仕事は成功したと考える.また,これらの結果を更にmodulus付きのモチーフ理論と結びつける研究等,多くの示唆も得られた.また,ミラー対称性や双有理幾何学への応用も期待されている.
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Strategy for Future Research Activity |
cubic 4-foldに対してのSerreのordinarydensity予想の証明では,p-進ホッジ理論が重要な役割を果たしたが,これからの研究では,非可換なp-進ホッジ理論の構築を目指し,さらに多くの場合でSerreのordinarydensity予想を証明したいと考える.具体的には,位相的K群とperiodicホモロジー群とを比較する非可換de Rhamの定理と,エタールK群と位相的periodic ホモロジー群を比較する非可換クリスタリン予想等を考えている.
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