2022 Fiscal Year Annual Research Report
量子真空の基礎論と現象論による曲がった時空の場の量子論の検証
Project/Area Number |
20J22946
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 和茂 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | de Sitter時空 / インフレーション理論 / 原始宇宙磁場 / 重力子 / 量子エンタングルメント / 原始重力波 / 非等方インフレーション / Bunch Davies真空 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、インフレーション期に原始磁場が存在する仮定の下、背景磁場による重力子・光子転換によって現れる重力子の量子状態への影響を考察した。特に、重力子のスクイーズ状態がどのように変化するかを、磁場が宇宙膨張によって急速に減衰する場合(インフレーション期にスケールファクターの2乗で減衰する場合)と、ゆっくりと減衰する場合(インフレーション期にスケールファクターの1乗で減衰する場合)について調査した。 その結果、いずれの場合も重力子の量子状態はHorizon Exitの後に十分スクイージングする(スクイージングパラメーターが無限大に漸近する)ことが分かった。一方、光子の量子状態は異なることが分かった。 これは、背景磁場がインフレーション期にスケールファクターの2乗で減衰する場合、ゲージ場の運動方程式は結合項を除けばMinkowski時空のものと一致するため、宇宙膨張の影響をほとんど受けなくなる一方、背景磁場がインフレーション期にスケールファクターの1乗で減衰する場合はゲージ場の運動方程式の結合項を除く部分はde Sitter背景での運動方程式と一致し、光子にもスクイージングによる粒子生成が起きるためであると考えられる。 さらに、重力子-光子転換で現れる重力子と光子の量子エンタングルメントの指標であるエンタングルメントエントロピーを評価した。その結果、背景磁場がインフレーション期にスケールファクターの2乗で減衰する場合はエンタングルメントエントロピーが微小な値に漸近する一方、背景磁場がインフレーション期にスケールファクターの1乗で減衰する場合は最大量子もつれ状態に漸近することが分かった。これは、重力子に対して光子が等量存在しなければ量子相関は最大にならない(背景磁場を介して相互作用をしても縺れのペアがいなければ縺れられない)ことを反映していると考えられる。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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