2021 Fiscal Year Annual Research Report
成人期ADHDの先延ばし行動への介入による,抑うつ低減メカニズムの検討
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20J23103
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小口 真奈 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 注意欠如・多動症 / うつ / 不安 / 先延ばし / 報酬機能 / 罰や報酬への感受性 / シングルケースデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の主な成果は以下の通りである。1. ADHD傾向者と健常群における先延ばしと心理適応の関連性の差異を検討する横断研究を実施し,分析結果が国際紙に掲載された。2. 成人期ADHD患者における先延ばしと心理的健康の因果関係を検討する縦断研究を終了した。3. 成人期ADHD傾向者への先延ばし介入の効果検討と,ADHDの神経認知要因が介入の効果に及ぼす影響の検討を実施している。 【成果1:成人期ADHD傾向者と健常群における先延ばしと心理適応の関連性の差異】 ADHDは,うつや不安が高いことや,幸福感の低下といった心理適応の問題が生じている。本研究では,成人期ADHD患者が頻繁に行っている先延ばしに着目した。先延ばしとは,行動を遅らせることによって,事態がより悪化することが予想されるにもかかわらず,自発的に行動を遅らせてしまう行動である。両者の関連性について検討した研究成果は「Frontiers in psychology」に掲載された。【成果2:成人期ADHD患者における先延ばしと心理的健康の因果関係】 先延ばしと心理適応の因果関係を明らかにするため,縦断研究を実施した。その関係性にADHD症状・診断の有無が及ぼす影響を検討した。3時点全ての調査を実施し,先延ばしと心理適応の因果関係の影響を検討するため,交差遅延交互モデルを実施した。本研究の成果は「APSARD」にてポスター発表をおこなった。【成果3:成人期ADHD者における罰や報酬への感受性の特徴と,先延ばし介入の効果検討】 本研究では,成人期ADHD傾向者に対する先延ばし介入の効果を検討することを目的とした。日常生活上の先延ばし行動を特定し,ベースライン期間から介入期にかけて先延ばし行動を軽ぞなのか洲ひて測定するシングルケースデザインにより,介入の効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度において,当該特別研究員は,ADHD症状・診断の有無による先延ばしと心理適応の関連の差異について横断・縦断調査研究を終了している。またそのうち,横断研究についてはFrontiers in Psychologyに掲載されている。さらに,成人期ADHD傾向者に対する先延ばし介入の効果,またその効果にADHDの神経認知要因が及ぼす影響について検討するため,シングルケースデザインの介入研究も実施中である。上述の2つの主な研究への取組,成果は,ADHD傾向者における神経認知要因と先延ばしとの関連性を明らかにするという目的に向かって,当該特別研究員の研究が,着実に進められていることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施する研究においては,昨年度から継続し,成人期ADHD傾向者に対する先延ばし介入の効果を検討すること,そしてその効果にADHDの神経認知要因が及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。シングルケースデザインにより,ベースライン期における先延ばし行動が,介入によって減少するかを検討している。現在までに8名の介入が終了している。今年度は,解析を進めるとともに,目標人数に向けて研究を継続する予定である。
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Research Products
(5 results)