2021 Fiscal Year Annual Research Report
知能処理の回路化とロボットプラットフォームへの適用
Project/Area Number |
20J23242
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 智寛 九州工業大学, 生命体工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 家庭用サービスロボット / シミュレータ / データセット生成 / 深層学習 / 物体認識 / Sim2Real |
Outline of Annual Research Achievements |
家庭用サービスロボットにおける,認識機能の自動獲得を目指して,フォトリアリスティックなシミュレータを用いた深層学習訓練用データセットの自動生成システムの研究開発を行った. 提案システムでは,Sim2Realのために,強化学習で用いられるDomain Randomizationを応用し,背景のテクスチャや色,物体の位置,光源の位置や強さ,鏡面反射率など様々なパラメータを複雑に変化させ,多様なデータセットを生成する.CPUにXeon W-2235を使用した場合,シミュレータを5並列で動作させることで,1時間で約25万枚の画像・アノテーションデータを同時に生成することができ,人が撮影・アノテーションして作成する場合に比べ,約877倍高速であった.また,YCBオブジェクト内の55クラスを用いて,50万枚のデータを生成し,インスタンスセグメンテーションのモデル(YolactEdge)を学習したところ,APが71.10%であった.このことから,Sim2Realでの頑健な物体認識ができていることがわかった. 提案システムを用いて学習した物体認識システムを,家庭用ホームサービスロボットの国際的な競技会である,World Robot Challenge (WRC) 2020 Partner Robot Challenge (Real Space)で使用したところ,約79%の認識率を達成することができ,実ロボットでの使用にも問題ないことが確認できた.WRCでは,室内環境があらかじめ指定されているが,シミュレータでは様々な環境を用意することで,どのような環境でも頑健な物体認識ができることを目指した.そして,この成果は,本競技会での優勝に大きく貢献した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォトリアリスティックなシミュレータを用いることで,本年度行った物体認識だけでなく,環境認識や物体の把持点推定,触覚センサや力覚センサを用いたマルチモーダル認識への応用も可能であると考える.これらの技術を一つのシステムでデータを生成,学習できるようにすることで,ロボットが自ら考え,認識することが可能である.家庭環境は日々動的に変化することから,家庭用サービスロボットの社会実装には,このような技術は絶対に必要であると考えている. これらの理由から,本研究はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,シミュレータでのデータセット生成について,更に研究開発を続け,環境認識や物体の把持点推定,マルチモーダル認識への応用を行う予定である.また,Domain Randomizationの各種パラメータにおける精度の貢献度を検証し,さらなる精度向上を目指す. さらに,家庭用サービスロボットへの応用だけでなく,一般的な物体認識・環境認識についても応用できるように汎用化を進める.
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