2022 Fiscal Year Annual Research Report
計算科学に基づく新規移流拡散制御・分離測定技術の開発によるソーレ係数の高精度測定
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20J23254
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
折笠 勇 早稲田大学, 基幹理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | Soret効果 / Soret係数 / 流体数値計算 / 粒子画像流速測定法(PIV) / 浮力対流 |
Outline of Annual Research Achievements |
混合溶液中の温度差に沿って構成成分が物質拡散し定常的な濃度差を生じる現象をSoret効果と呼ぶ。低(高)温側に濃化する成分種と度合いは、物質系や比、温度に依存するSoret係数で与えられ、結晶成長や凝固過程での成分再分配の高精度予測に重要なパラメータである。しかし、重量環境下においては浮力対流などの強い流れ場が擾乱となり、Soret係数の高精度な測定は困難であった。この問題に対して、有限要素法による流体数値計算と粒子画像流速測定法(PIV)を用いて、混合溶液を満たす試料容器の寸法形状や温度差の与え方を工夫することで、地上でも浮力対流を抑えて、正確にSoret効果を観測し得る条件を明らかにした。 具体的には、鉛直扁平なガラス容器の内部空洞に充填され鉛直方向に加熱されるエタノール水溶液の3次元数値計算モデルを作成し、空洞厚さと加熱温度を変化させ、溶液速度・温度・濃度場変化を計算した。その結果、Soret効果による溶質輸送量が大きな溶液系ほどSoret係数測定に許容される溶液中の対流場が大きくなることを明らかにした。この結果は,前年度に既に明らかにした純溶液での関係性とも良く整合する結果であった.また,測定誤差は対流場の無次元速度に関するパラメータの多項式で良く近似できることが分かった。さらに、対流場の無次元速度は設計可能な測定条件“溶液熱物性・初期条・溶液寸法”に関する線形式から予測・制御可能であることが分かった。つまり、測定条件を線形式組込の多項式を満たすように設計することで,地上重力下においても浮力対流を高度に抑制し,Soret係数の高精度な測定を実現し得ることを明らかにした。この成果の一部を拡散現象の代表的な国際会議DSL2022で発表した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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