2021 Fiscal Year Annual Research Report
複雑細菌群集の時系列データを用いた安定性予測と操作実験による群集動態の制御
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20J23344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 博昭 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 細菌群集 / 安定性 / 動態制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細菌群集動態の予測と動態操作の可能性について検討している。2021年度の研究活動において、細菌群集時系列の予測可能性について検討した。予測の検討方法として、Empirical dynamic modellingを用いて、各細菌種の個体群動態を予測した後に、群集レベルにおいて予測精度を検証した。その結果、群集組成が大きく変化する時間点では予測が難しいが、予測精度の立ち上がりにおいては既存のARモデルの予測より優れていることが示唆された。また、以上の結果から、大きな群集組成変化が起こる時間点を予測する何らかの指標の必要性が期待された。 次に、Empirical dynamic modellingで推定された種間相互作用強度を用いた安定性指標(Local Lyapunov stability)と、自由エネルギーを用いた安定状態地形(Energy landscape analysis)より求められる安定性指標を用いて、大きな群集組成の変化が起きるかを予測した。その結果、以上の2つの安定性指標が不安定になった時に、大きな集組成の変化が起きやすいことが示唆された。また、大きな集組成の変化が起きる際の安定性指標の閾値をROC分析より算出したところ、Local Lyapunov stabilityが不安定性を示す値(Local Lyapunov stability>1)と合致した。 以上の結果から、群集の大きな変化が起こる際に有用な指標が明らかとなった。用いた指標から、各生物種の安定性指標への貢献度も算出できる。そのため、安定性に大きく寄与する生物種の候補を見つけ出すことが可能となり、群集制御の可能性が示された結果となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるEmpirical dynamic modellingの有用性を検討できただけでなく、新たな動態制御に役立てそうな手法の検討も行うことができたため、当初の目的は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては、本研究以外の微生物群集データを用いて、手法の一般性、本研究結果の妥当性について検討する。
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