2021 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞性リンパ腫による可溶性インターロイキン-2受容体の誘導メカニズムの解明
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20J23420
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
海野 健斗 自治医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 可溶性IL-2R / B細胞性リンパ腫 / 腫瘍環境 / CD25 |
Outline of Annual Research Achievements |
B細胞性リンパ腫による可溶性IL-2R (sIL-2R) 産生と、その産生誘導メカニズムの解明を目的に研究を行った。B細胞性リンパ腫では、sIL-2R高値は強力な予後不良因子であるが、どの細胞からどのように産生されるかは解明されていない。そこで、本研究では、実際のヒトB細胞性リンパ腫のリンパ節検体を用いて、sIL-2Rの産生細胞と産生メカニズムを明らかにすることを目的とした。 本年は、シングルセル解析の手法を参考に、ヒトのB細胞性リンパ腫検体の安定的な細胞保存を行い、合計11症例のB細胞性リンパ腫症例の検体を保存した。続いて、B細胞性リンパ腫のリンパ節病変において、どの細胞からsIL-2Rが産生されるかどうか解明するために、腫瘍と腫瘍環境中の細胞をフローサイトメトリーでソーティングした。具体的には、リンパ腫細胞、正常B細胞、制御性T細胞、ナイーブT細胞、エフェクターT細胞、CD8+T細胞、腫瘍関連マクロファージ、骨髄由来免疫抑制細胞のソーティングを行った。sIL-2Rは、CD25から切断されて産生されると考えられているために、それぞれの細胞のCD25の発現と血清のsIL-2R値の相関関係も検討した。 本年度までに、安定的なヒト検体の保存と細胞ソーティングを確立した。遺伝子発現の解析に関しては、ソーティングで細胞回収ができれば、一度にまとめて行うことができる。RNA抽出、DNAの合成などの実験手法についての確立も本年に行っており、ヒト検体が集まり次第、解析予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、実際のヒトの臨床検体を用いる研究であり、安定的にヒト検体を保存し、それぞれの細胞をソーティングする方法の確立が重要である。令和3年度を通して、安定的にヒト検体を保存する方法と、フローサイトメトリーを用いたソーティングする手法を確立した。令和3年度後半以降は、ヒト検体の保存、細胞のソーティングを順調におこなっている。当初の、研究計画と比較すると、遺伝子の発現解析が行えておらず、研究はやや遅れている状況である。今後は、ヒト検体が集まった時点で、まとめて遺伝子発現の解析を行う。令和4年度に、本年の遅れを取り戻せるように研究を行なっていく予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では、リンパ節病変の保存とソーティングを継続して行っていく。目標数のリンパ節検体が保存できた時点で、遺伝子発現の解析を行い、どの細胞からsIL-2Rが産生されているかを明らかにしていく。
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