2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Supramolecular systems with mechanical property
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20J23539
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
米澤 俊平 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 超分子 / キラリティー / キラル増幅 / プロキラル / 共集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
等方的に働く機械刺激を貯蓄し指向的なエネルギーとして放出するためには、等方的なストレスを指向的かつ効率的に伝搬することが不可欠である。指向性の制御にはキラリティーが寄与しており、集合体全体のキラリティーの制御は重要な課題である。集合体全体のキラリティー制御に「sergeants and soldiers効果」があるが、積層するπ共役コアの側鎖に不斉炭素を導入した系に限定されており、集合体の伸長に関与する軸性キラリティーを持つπ共役コアに着目した研究例はない。 当研究室では、軸不斉を有するビナフチルPDIがホモキラル集合体でねじれたナノファイバーを与え、エナンチオ過剰率(ee)を調整することで、ナノファイバーの長さが制御できることを報告している。本研究ではペリレンジイミド(PDI)二量体に着目し、キラルなビナフチルおよびアキラルなビフェニルをリンカーに有するPDI二量体のナノファイバー型集合体を検討した。ビフェニルPDI二量体は、キラルなビナフチルPDI二量体と共集合体を形成し、組成比に応じて超分子ナノファイバーのモロフォロジーおよび光学特性が変化することを見出した。特に、ビフェニルPDIの割合が40mol%を超えると、正のコットン効果がレッドシフトし、SEM像からホモキラルなビナフチルPDIナノファイバーより太いナノファイバーが形成されていることが分かった。その共集合体は、顕著なキラル増幅を示していることから、キラル分子を少量導入することで超分子ポリマーのeeを偏らせる「sergeants and soldiers効果」を軸不斉を有するπ共役分子で発現することを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づき、キラル分子を少量導入することで超分子ポリマーのエナンチオ過剰率(ee)を偏らせる「sergeants and soldiers効果」を軸不斉を有するπ共役分子で発現することを実証した。その成果が国際論文に掲載された (S. Yonezawa, T. Kawai, T. Nakashima, “Supramolecular Copolymerization of Bichromophoric Chiral and Achiral Perylenediimide Dyes”, Front. Chem. 9:652703.)。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、研究計画に沿って実験・研究を行い、高圧下でのみ結合形成可能な超分子システムの構築のため、光応答性自己組織化分子の合成を行い、各種分光測定や電子顕微鏡観察を用いて、圧力応答性、光反応性を明らかにする予定である。研究計画を変更することなく、当初計画に沿った実験・研究を実施する予定である。
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