2020 Fiscal Year Annual Research Report
Autonomous Guidance, Navigation, and Control Using Vector Code Correlation Algorithm for Landing on Far-Distant Small Bodies
Project/Area Number |
20J23574
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
大平 元希 総合研究大学院大学, 物理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | テンプレートマッチング / マーカ / 航法誘導制御 / 透視投影変換 / 小天体探査 / 再帰性反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な天体へ適用可能な探査機の自律航法誘導制御技術を開発することを目的に、以下の2つの点を中心に研究を実施した。 1.画像中の平坦な領域の抽出・追跡手法の検討:天体表面の平坦な領域を探査機が画像から自動抽出・追跡する手法を検討した。本研究では、探査機が損傷しない程度の大きさの岩がない領域を、平坦な領域と定義した。岩が存在する領域は、輝度勾配が平坦な領域よりも顕著になる。そこで、画像の輝度勾配分布から平坦度を算出する手法を検討した。さらに、最も平坦な領域と周囲の複数の領域の微小画像を画像マーカとして設定し、画像マーカに設定された領域を撮像時刻の異なる画像中でテンプレートマッチングを用いて追跡する手法を検討した。そして、JAXAの小惑星探査機はやぶさ2の運用データを用いて提案手法を評価した結果、リアルタイムかつ高精度に平坦領域を抽出・追跡できることを確認した。 2.人工マーカを用いた探査機自己位置推定手法の提案:天体表面の平坦領域を活用した手法に加え、人工的なマーカを用いた位置推定手法を検討した。はやぶさ2では、再帰性反射機能を有する人工的なターゲットマーカを投下し、画像から検出される2次元マーカ位置をもとに誘導制御を行った。しかし、この方式ではマーカ付近にしか着陸することしかできない。そこで、本研究では、天体表面の広範囲に再帰性反射機能を有するターゲットマーカを投下し、あらかじめ観測可能な形状モデル上でのマーカ位置と画像より検出可能な2次元点パターンを用いて、3次元位置を高精度かつリアルタイムに推定する手法を検討した。この手法は、天体の環境に依存しないリアルタイム高精度3次元位置推定が特徴であり、これまでは困難であった地点への着陸が可能となる。はやぶさ2の運用データを用いて提案手法を評価した結果、リアルタイムかつ高精度に探査機位置を推定できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の小天体探査における課題や制約に基づいた最適な手法を提案するため、当初の研究計画を柔軟に修正しながら進めている。本年度の当初の計画では、画像中の平坦な領域の抽出・追跡手法の開発を実施する予定であった。実際にこの計画の通り、画像中の平坦な領域の抽出・追跡手法の提案と、はやぶさ2の運用データを用いた提案手法の評価を実施することができた。これに加え、平坦領域を画像マーカとして活用する提案手法の比較対象として、再帰性反射機能を有する人工マーカを用いた探査機自己位置推定手法の提案を実施した。これは当初の予定にはなかったが、様々な性質の天体へ適用可能な自律航法誘導制御技術を開発するという本研究の目的を達成する上では、非常に有用な手法であると考えている。以上の理由から、おおむね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平坦な領域の抽出・追跡手法をベースとした誘導制御手法を検討する。これに加え、人工マーカを用いた位置推定手法に基づいた誘導制御手法も検討する。そして、それらの成果を統合して自律航法誘導制御技術を完成させ、様々な天体・環境下(天体のサイズ、形状、表面の平坦さ、影の有無など)での着陸シミュレーションを行い、提案手法を比較評価する予定である。さらに、ソフトウェア上での開発を元に、FPGAへの提案手法の実装を行う。また、最終年度に実際の天体環境を模擬したフィールド実験を行うために、実験準備を並行して行う。そして、これらの研究を通して得られた成果を積極的に外部へ公開する。国際・国内学会での成果報告を複数回行い、外部の研究者の意見を積極的に取り入れる予定である。
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