2020 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of Heavy-Metal-Free Quantum Dots and Fabrication of Quantum Dots Light-Emitting Diodes
Project/Area Number |
20J23803
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 博之 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 量子ドットレーザー / 量子ドット / ナノ粒子 / シリコン / 発光ダイオード / エレクトロルミネッセンス / 量子閉じ込め効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子ドット(QD)インクを使った、発光波長可変な「電流注入型QDレーザー」を実現することである。本年度は、1.「異なるサイズのシリコンQD(SiQD)を活性層に具備した逆構造型発光ダイオード(Si-iQLED)の発光特性評価と断面電子像解析」及び2.「Si-iQLEDの高発光効率化」の項目について研究を実施した。 1)5種類の異なるサイズのSiQDを作製しサイズごとにSi-iQLEDを作製し発光特性を調べたところ、QDのサイズに応じて橙色から深赤色の間で発光波長を変調することに成功し、さらにいずれの発光波長帯においても高輝度化を実現した。次に高輝度化のメカニズムを調べるためにデバイスの断面電子像解析をしたところ、高電圧駆動後のデバイスにおいても当初の層構造を保持していることが明らかになった。それゆえ高電圧駆動時でもデバイスが劣化しにくく、従来よりも遥かに高い輝度が実現したと結論付けられた。これらの成果は国際学会:MANA International Symposium 2020 jointly with ICYSで発表し、また国際学術論文誌:Journal of Physical Chemistry C 2020,124,42,23333-23342に掲載された。 2)高速液体クロマトグラフィーを用いてSiQDを精製し、速やかに当該QDを活性層に組み込むことで外部量子収率(EQE)が12%の赤色発光Si-iQLEDの作製に世界で初めて成功した。当該EQEの増強メカニズムについてSiQDのキャリア易動度の観点から解析したところ、"精製直後のQD"ではそうでないQDに比べて電子及び正孔易動度がいずれも増大していることを見出した。それゆえSiQD内でのキャリア注入バランスが向上し、Si-iQLEDの高発光効率化が実現したと議論された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の進展を判断した理由は、次の2点に帰着する。 (1)従来、発光波長の変調性は順構造型SiQD発光ダイオードにおいて報告されていたが、高電圧駆動下での発光安定性が低かった。しかし本項目により、逆構造型SiQD発光ダイオードにおける発光波長の変調性を明らかにし、さらに高電圧駆動下でも安定発光し、高輝度化が実現できた。 (2)本項目により、「SiQDを発光層に具備した"赤色"発光ダイオード」のEQEが従来の最高値6.2%(ACS,Appl.Mater.Interfaces,2018,10,6,5959-5966)を超える12%を実現した。それゆえ、SiQDの電流注入型QDレーザーへの応用可能性が高まった。
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Strategy for Future Research Activity |
電流注入型QDレーザーの実現のためには、土台となる強発光QLEDの作製が必要不可欠である。しかし現状では、デバイスに高電流密度を流した際にEQEが大きく下がり発光強度が得られないという問題を抱えており、その打開策はキャリア易動度の増大とバランスにあると考えている。この問題を解決するために、デバイス構造を調製するアプローチ、そしてQDを調製するアプローチを考えている。
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