2021 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of Heavy-Metal-Free Quantum Dots and Fabrication of Quantum Dots Light-Emitting Diodes
Project/Area Number |
20J23803
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 博之 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 量子ドットレーザー / 量子ドット / ナノ粒子 / シリコン / 発光ダイオード / エレクトロルミネッセンス / 量子閉じ込め効果 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1.「近赤外発光シリコン量子ドット発光ダイオード(Si-QLED)の開発」と2. 「Si-QLEDの光出力強度の増強」の2項目について研究を実施した。 1)フォトルミネッセンスピーク波長が1,000nmにあるシリコン量子ドット(SiQD)を湿式合成し、当該QDを活性層へ具備することで1,000 nmの近赤外で発光するSi-QLEDを世界で初めて開発した。外部量子収率(EQE)は4.84%を記録し、900-1100 nmで発光する重金属フリーQLEDの中で最高値を達成した。次に、異なるサイズのSiQDを混合し活性層へ具備することで、ELスペクトル形状の制御を達成した。当該ELスペクトルの形状制御は、吸収スペクトルと発光スペクトル間の大幅なストークスシフトにより、異なるサイズのQD間でのエネルギー移動が最小化されたため達せられたと議論された。これらの成果は国際学術論文誌: ACS Applied Nano Materials, 2021, 4, 11, 11651-11660に掲載された。 2)電子輸送層(ETL)としてZnMgOナノ粒子、正孔輸送層(HTL)としてTCTAを具備することで、従来のETLにZnO、HTLにCBPを具備したデバイスよりも光出力強度が10倍高いSi-QLEDの作製に成功した。当該光出力強度の増強メカニズムについて調べるため、デバイス電流密度に対するEQE解析をしたところ、高電流密度下においてもEQEの急激な減少が従来よりも抑制されていた。次に、デバイスの断面走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、高電圧駆動後のデバイスにおいても当初の層構造を保持しており、さらに有機物層への損傷もなかった。以上の結果から、高電圧駆動下においてもデバイス構造が安定しており、効率的なキャリア注入バランスが持続したため、光出力強度が増強されたと結論づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の進展を判断した理由は、次の2点に帰着する。 1)電流注入型QDレーザーの実現のためには、土台となる強発光QLEDの作製が必要不可欠であったが、従来のデバイス構造では高電流密度を流した際にEQEが大きく下がり発光強度が得られないという問題を抱えていた。しかし本研究により、高電圧駆動下においてもEQEの急激な減少が抑制されるデバイス構造を発見し、光出力強度が従来よりも10倍増強された。それゆえ、強発光QLEDの実現可能性が高まった。 2)QDレーザーを実現するためには、QD内での反転分布の形成が必要不可欠である。しかし、現在までSiQD内における反転分布の形成を明らかにできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
反転分布を形成するために、SiQD内へのボロン及びリンの不純物ドープを継続して行う。また他の元素種(Mn等)でも不純物ドープが実現できるか探索する。さらに遷移金属の結晶格子置換がコバルト(Co)でも成功しているため、過渡吸収測定により不純物準位形成を明らかにし、反転分布形成を明らかにする。また、Ni等他の遷移元素でも格子置換の可能性を探索する。SiQDに対して不純物ドーピング操作を施しても反転分布を形成することが困難な場合には、QDを他物質(InP/ZnS、CsSnxGe1-xCl3 QDs等)で置き換え、研究を進めることを考えている。
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