2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20J30004
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
岡畑 美咲 甲南大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 線虫C. elegans / 多型株 / 温度馴化 / 酸素 / カルシウムイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
線虫C. elegansにおいて頭部に一対存在するADL温度受容ニューロンは、低温馴化を制御し、ADLが関わる低温馴化は、環境の酸素濃度に影響されることが分かってきた (Okahata et al., Science Advances, 2019)。また、酸素受容ニューロンが温度受容ニューロンと介在ニューロンを介して接続し、低温馴化に関わることが示唆されていた。その一方で、この神経回路において、酸素と温度の情報がどのように区別や識別されているかは未解明である。そこで、酸素と温度を区別や識別をするニューロン内の分子機構や神経生理の機構、そして神経回路動態を調べるために、カルシウムインディケーターを用いて、酸素と温度を変化させた際の神経活動を細胞内カルシウムイオンの変化を光学的に捉えることで測定を行なった。これまでに開発した、異なる酸素濃度で飼育した線虫のADL温度受容ニューロンの神経活動を測定するためのイメージング装置を用いて、異なる酸素濃度で馴化させた系統のADLの温度応答性を測定するための準備を行なった。具体的には、酸素濃度依存的な低温馴化を制御する遺伝子の変異体や多型株のADLで特異的にカルシウムインディケーターであるイエローカメレオンYC3.60を発現させた系統を作成した。さらに、C. elegansの温度受容ニューロンADLの上流に存在する酸素受容ニューロンで働く酸素受容体の変異体を用いて、温度応答性を測定した。この酸素受容体の変異体はADL温度受容ニューロンの温度応答に異常を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸素濃度依存的な低温馴化を制御する遺伝子の変異体や多型株のADL温度受容ニューロンで特異的にカルシウムインディケーターであるイエローカメレオンYC3.60を発現させた系統を作成し、ADLの上流に存在する酸素受容ニューロンで働く酸素受容体の変異体を用いて、温度応答性を測定したところ、この酸素受容体の変異体はADL温度受容ニューロンの温度応答に異常を示したことから、順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ADL温度受容ニューロンの温度応答性とADLが制御する低温馴化は上流の酸素受容ニューロンによって影響を受けることがわかってきた (Okahata et al., Science Advances, 2019)。一方で、酸素と温度という複数の環境情報がどのように区別・識別されているかはわかっていない。そこで、酸素と温度を区別・識別する神経回路動態を調べるために、Ca2+インディケーターを用いて、酸素と温度の神経回路を制御する個々のニューロンにおいて、温度変化させた際のカルシウム濃度変化を定量化する。さらに、昨年度ADLでCa2+インディケーターであるカメレオンYC3.60を特異的に発現させた系統を作成したため、これらのイメージング用の系統を用いて、異なる酸素濃度で飼育した際のADLの温度応答性を測定する。酸素受容ニューロンからの酸素情報を温度受容ニューロンに伝達する際に使われる神経ペプチドを同定するために、温度受容ニューロンADLの上流の酸素受容ニューロンや介在ニューロンで発現する神経ペプチドの温度馴化を測定する。
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Research Products
(10 results)