2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effectiveness of cognitive-behavioral therapy and interventions to increase self-compassion for body dissatisfaction
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20J40026
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高橋 恵理子 早稲田大学, 人間科学学術院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 身体不満足感 / ボディイメージ / セルフコンパッション / 認知行動療法 / ウェルビーイング / 摂食障害 / 身体醜形障害 / 外見 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ボディイメージに肯定的影響を及ぼす要因について明らかにすることを目的として、2つの研究を行った。研究1では、自己に対する思いやりや慈しみの態度であるセルフコンパッションおよびウェルビーイングがボディイメージに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。研究2では、年齢や発達的要因がボディイメージに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。いずれの研究においても、インターネットを介した横断的調査を実施した。研究1では、青年期から壮年期前半の女性604名から有効回答を得た(年齢範囲18~34歳、平均年齢25.1歳、SD = 5.1)。研究2では、青年期から中年期の女性663名から有効回答を得た(年齢範囲18~59歳、平均年齢34.7歳、SD = 13.1)。研究1の結果から、セルフコンパッションの得点は、ウェルビーイングの得点に有意な正の影響を及ぼしており (β = .45~.58, いずれもp < .001)、ウェルビーイングの得点は、否定的ボディイメージの得点に有意な負の影響を及ぼしていることが示された (β = -.12~-.13, いずれもp < .001)。研究2の結果から、加齢はボディイメージに肯定的影響を及ぼしており、青年期から中年期にかけて、外見に関する問題行動、感情的苦痛、否定的評価および外見的魅力を重視する信念の順に低下する傾向にあることが示された。また、結婚や養育経験は、ボディイメージに肯定的影響を及ぼしていることが示された。本研究によって、セルフコンパッションおよびウェルビーイングの増加や加齢、結婚、養育等の発達的変化は、日本人女性のボディイメージに肯定的影響を及ぼすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初予定していた学内での教場調査およびオンライン調査の組み合わせから、全面オンライン調査に変更して、おおむね計画通りに進展している。データ収集の方法をオンライン調査に切り替えたことによって、大学生の年齢にとどまらず、幅広い年齢層からデータを収集することが可能となった。若年女性から中年期女性を対象として、身体不満足感ならびにボディイメージの変化について検討を行った結果、年齢、婚姻状況、養育状況などの心理社会的要因が身体不満足感ならびにボディイメージに対して有意な影響を及ぼしていることがわかった。これらは、身体不満足感の高い若年女性に対して、心理教育的にボディイメージの発達に関する知識を伝える際に、大いに役立つ知見であると考えられる。その他、当初予定していなかった変更点としては、サンプルサイズの変更が挙げられる。当初は、300名程度のサンプルサイズを確保することを目標としていたが、その後の研究によって、本研究で予定していた統計解析を行うには、少なくとも500名前後のサンプルサイズを確保できた方が望ましいことがわかった。予算内で十分な量のデータを収集することが可能な調査会社を探して、無事に年度内に目標としていたサンプルサイズを確保することができた。以上のことから、今年度はコロナウィルス感染拡大の影響により、不測の事態も生じたが、全面オンラインによるデータ収集へと変更したことによって、順調に研究課題を進展させることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続きコロナウィルス感染拡大の影響により、学内でのデータ収集は、当面の間は不可能であると考えられる。そこで、当初予定していた大学生の女性を対象とした研究から、一般の若年女性を対象とした研究に変更する。研究参加者の募集方法は、学内における募集広告の配布から、研究協力者の募集を代行する業者に依頼して行うこととする。実験の実施方法についても、対面による実験室での実験から、遠隔によるZoom等を用いたオンラインでの実験に変更する。具体的な今後の流れとしては、2021年度前期中に、研究内容について、受け入れ研究機関の研究倫理審査委員会による審査を受ける。研究実施の承認が得られ次第、業者を通して研究参加者の募集を開始する。研究参加者が見つかり次第、実験を開始する。実験対象者は、身体不満足感の得点が高い若年女性とする。また、2020年度の研究結果に基づき、対象者の年齢の範囲は、18歳以上34歳以下とし、未婚で出産経験のない、心身ともに健康な女性とする。2020年度の研究結果に基づき作成した、身体不満足感の低減を目的とした課題を60分間程度実施して、その前後で身体不満足感と関連する認知、ウェルビーイングの状態的側面における得点の変化を検討する。実験データの収集は、2021年12月までに終了する予定である。2022年1月から3月の間に、本研究の結果をまとめて学会発表ならびに論文投稿の準備を進める。なお、2020年度に実施した研究の成果は、2021年6月ならびに7月にオンラインで開催される国際学会(The 16th International Congress of Behavioural Medicine & the 7th Asian Cognitive Behavior Therapy Conference) にて、ポスター発表を行う予定である。
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