2020 Fiscal Year Annual Research Report
生後発達期の小脳神経回路におけるシナプス形成部位の再編成機構
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20J40119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 大祐 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経回路形成において、一度形成された神経回路を再編成することで、動物は成熟した神経回路を獲得する。精神疾患の患者脳内では、この神経回路の再編成のプロセスが異なっていると考えられており、神経回路の再編成機構を明らかにすることは、疾患の理解の側面からも重要である。シナプス再編成では多様な神経組織で観察される現象であるが、この中でもシナプスを形成する部位が変化する現象についてそのメカニズムは不明である。小脳プルキンエ細胞(ポストシナプス )と下オリーブ核ニューロンの軸索である登上線維(プレシナプス)との間のシナプスは、生後発達期に余剰な登上線維によるシナプスが除去(シナプス刈り込み)されて一本のみが残ると同時に、シナプス形成部位が細胞体から樹状突起へと移行する。本研究では、小脳プルキンエ細胞と登上線維間のシナプス再編成機構に着目し、これを制御する分子メカニズムの一端を解明することを目標とした。 本年度はプルキンエ細胞で発現する遺伝子をRNAiによってノックダウンし、電気生理学的手法によってプルキンエ細胞を神経支配する登上線維が複数残ってしまう表現型を示す遺伝子を同定した。さらにこの分子がプルキンエ細胞の樹状突起にもあることを明らかにした。今後はコンディショナルノックアウトを作製してその表現型を調べると同時に、関連する遺伝子の機能を同時に調べることで、シナプス再編成機構の一端が明らかになると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シナプス刈り込みに異常を示す遺伝子を見つかり、この遺伝子が実際にプルキンエ細胞で発現し樹状突起にも局在することを示した。既知の関連する遺伝子もプルキンエ細胞の樹状突起に局在することを明らかにした。現在コンディショナルノックアウトトマウスを作製中である。
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Strategy for Future Research Activity |
コンディショナルノックアウトマウスを用いて、当該遺伝子のプルキンエ細胞における表現型を調べる。
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