2020 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウイルス感染による線維化発症メカニズムの解明と新規治療標的の同定
Project/Area Number |
20J40236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫野 美沙緒 東京大学, 定量生命科学研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス / 肝星細胞 / iPS細胞 / 肝硬変 / 三次元共培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝細胞のHBV感染における星細胞の関与について明らかにする。感染モデルとして、当研究室で分化誘導法を樹立したiPS細胞由来静止期星細胞と肝細胞との共培養系を用いる。構築したモデルを用いて肝疾患に対する新規治療標的や治療薬候補の同定することも目的とする。 当該年度は、HBV複製を亢進した星細胞と肝細胞の共培養条件において、具体的にどのような星細胞の作用が肝細胞に影響を与えたかについて解析する計画であった。静止期星細胞から産生されるサイトカイン等の因子がHBV複製を亢進するかどうかを調べるために、静止期星細胞の培養上清をHBV複製細胞であるHepAD38細胞の培地に様々な割合で混合した。その結果、静止期星細胞の培養上清はHBV複製を亢進しなかった。これはサイトカイン等の影響がないという結果ではなく、培地の組成が細胞の培養に最適ではなかったためと考えられ、今後、星細胞の培養上清中のサイトカインについてサイトカインアレイを用いて定量し、解析を進める。 静止期星細胞の三次元共培養では肝細胞におけるHBV複製を亢進したが、活性化星細胞ではその効果は認められなかった。このことから活性化星細胞には無い、静止期星細胞による特異的な関与がHBV複製を亢進していることが示唆された。今後、静止期と活性化星細胞のRNA-seqを行い、HBV複製における作用因子を同定する。 前年度までに星細胞の活性化を抑制する可能性のある化合物について、HBV複製への効果を明らかにし、複数の抗HBV薬候補を得ていた。当該年度はそのターゲットを同定し作用機序を解明するよう研究を進めた。次年度も引き続き解析を進める。 また当該年度においては、昨年度までに樹立した静止期星細胞の分化誘動法および星細胞活性化のレポーター細胞についての論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるHBV感染における星細胞の関与について、当該年度までに実施予定であった共培養系の樹立と、静止期および活性化星細胞の効果について明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
肝細胞における星細胞の効果を転写因子等を解析することで明らかにする。また共培養系の改良を行う。
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