2021 Fiscal Year Annual Research Report
クラゲ配偶子放出神経ペプチドの作用機構における雌雄差の解明
Project/Area Number |
20J40273
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹田 典代 広島大学, 統合生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 放精 / 放卵 / 神経ペプチド / エダアシクラゲ |
Outline of Annual Research Achievements |
メスのエダアシクラゲでは、RPRPアミドが卵成熟誘起ホルモンであることが明らかになっており、オスクラゲでは、放精誘導ホルモンであることが分かってきた。メスにおいては、RPRPアミドは神経ペプチドで、卵巣の外胚葉上皮に存在し、暗刺激を与えるとRPRP神経からRPRPアミドが放出される。オスクラゲにおいても、抗PRPアミド抗体は精巣上皮において神経細胞を認識していることを確認した。このシグナルは、暗刺激を与えると検出出来なくなる事も確認した。これは、暗刺激により体外に放出したと予想される。これにより、オスクラゲもメスクラゲも暗刺激によりRPRPアミドを放出し、配偶子放出に至るという共通機構が明らかになった。このような共通機構がある一方で雌雄において顕著に異なる機構を見出した。エダアシクラゲの放精は、精巣上皮の一部が破け、そこから成熟した精子が放出される(放精ポイントとする)。放精ポイントは、口側から傘側にかけて徐々に移行し、放精は約12分間かけて行われる。口側から起こる放精は、精巣を口側と傘側に切断しても、維持されていた。一方で放卵は、卵巣全体で、約3分間のうちに行われるが、放精は、放卵に先駆けて行われる。また、精巣の構造を明確にするため、切片を作成しHE染色により観察したところ、精巣は胃側から表皮側にかけて異なるステージの精子が並んでおり、表皮側に伸長精子細胞が存在していた。伸長精子細胞は精巣表皮が破ける事で体外に放出されることが形態的に予測された。これらの結果から、雌雄で配偶子の放出に共通してRPRPアミドを用いているにもかかわらず、卵・精子の放出のタイミングは異なる機構で制御している事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エダアシクラゲ配偶子放出機構において、雌雄において異なる配偶子放出パターンを見出し、解析を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
オスクラゲにおいて口側から傘側にかけて行われる放精を可能にしている可能性として、RPRPアミドの放出パターンに口側と傘側に時間差がある事が考えられるため、抗PRPアミド抗体を用いて、暗刺激後の放出パターンを明らかにする。また、現在これまでに得られた結果をまとめ、論文を作成している。2022度中に学術雑誌に投稿する予定である。
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