2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00002
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
太田 紘史 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (80726802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 和樹 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (60743680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自由意志 / 道徳的責任 / 決定論 / 実験哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、自由意志の経験に関する主観的報告として測定したデータに関する分析を引き続き進めるとともに、主観的報告における道徳的文脈を考慮に入れた実験研究の準備を進めた。とりわけ、道徳的責任が関わる意思決定の文脈において、自由意志の経験に関する主観的報告がどのように変動しうるのかを調べるための準備を実施した。 さらに、自由意志の経験を反映した概念が、自由意志をめぐる哲学的論争にどのようなインパクトを持つのかについて、理論的な検討を行った。とりわけ、リバタリアン的な自由意志の経験を反映した非両立論的な自由意志概念が、形而上学的あるいは科学的な脅威によりそれに対応する指示対象の実在性を失う場合でも、それが依然として否定的な仕方で(すなわち自由意志の不在を表現する仕方で)機能することを検討した。以上の検討は国内学会での口頭発表の形で発表された。これに加えた理論的検討として、経験と意志の結びつきに関する研究を行い、視覚経験のような意識状態のマーカーにとして意志的な行為者性が有効になることを論じるとともに、その成果を学術誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた実験研究の準備を行なったものの、その実施および分析が遅れたため。他方で実験研究と哲学的論争のつながりの明確化については、予定通りの進捗を図った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに準備した実験研究を実施し、その結果を分析した成果を取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
実験研究の実施および分析が遅れたことにより、それに関連する経費が次年度使用額となった。今後これらの研究を実施し、それに当該の次年度使用額を当てる予定である。
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Research Products
(2 results)