2023 Fiscal Year Research-status Report
ガンディーのジェンダー論:エコロジカル・フェミニズムとの関連において
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20K00008
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石井 一也 香川大学, 法学部, 教授 (70294741)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ガンディー / イリイチ / シヴァ / エコロジカル・フェミニズム / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、主として、Pushpa Joshi ed. Gandhi on Women, Navajivan Publishing House, Ahmedabad, 1988をテキストとして、女性に関するガンディーの言説を分析する一方、彼のジェンダー観が、ヴァンダナ・シヴァやイヴァン・イリイチ、あるいは青木やよひをはじめとするエコロジカル・フェミニストに継承される経緯を辿った。 ガンディーのジェンダー論については、スワデーシー(経済的自立)の樹立のためのチャルカー(糸紡ぎ車)運動が、主として虐げられた女性を救済する目的を持っていたことを改めて確認した。2014年出版の『身の丈の経済論―ガンディー思想とその系譜』(法政大学出版局)でチャルカー運動を分析した際には、必ずしも十分ではなかったが、今後改めて彼のジェンダー論を軸に同運動を理解する余地があると考えるに至った。 他方、エコロジカル・フェミニズムについては、ガンディーから、イリイチやシヴァに流れるジェンダー論の系譜を辿るとともに、それに対する批判を検討した。たとえば日本では、1985年のいわゆる「エコ・フェミ論争」において、イリイチや青木の見解に対して、上野千鶴子らが激しく批判しており、これに対する青木の反論がある。この論争においては、ひとつには、女性を「産む性」として位置づける青木の視角に対して、両性が「産む性」であるべきであると考える上野の見解が際立っている。もっとも、どちらの論者も、男女平等を志向している点では、大筋で同じ方向を向いているとみられる。今後は、それぞれの論旨をより正確に分析し、その上で、ガンディーのジェンダー論に対する洞察を深めてゆきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年以上に及ぶコロナ・パンデミックの影響は大きく、加えて、家族の死や病気入院のために、大きく研究計画を変更せざるをえなかった。とりわけ当初予定していた海外出張は、事実上断念せざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた海外出張の代替策として、国内出張を大幅に増やし、インドをはじめとする世界の女性の置かれている被抑圧的状況を理解すべく努めているが、この方針を継続したい。今後は、昨年度までに収集した資料をいっそう読み込み、分析した成果を一つの研究論文としてまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ・パンデミックにくわえて、家族の事情により、研究の進展が、当初の予定よりも遅れたため。。
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