2021 Fiscal Year Research-status Report
Mathematics and Philosophy of Set Theory of the Continuum
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20K00010
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤田 博司 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (60238582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 英徳 金沢大学, GS教育系, 准教授 (30710230)
菊池 誠 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (60273801)
池田 真治 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70634012)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 連続体問題 / 連続体の哲学 / 数理哲学史 / 数理論理学 / 公理的集合論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では数学基礎論の従来の理解を問いなおす作業を進めている。2021年度もひきつづき研究代表者および3名の研究分担者(池田・菊池・黒川)がそれぞれに文献の検討をおこなった。具体的には以下のテーマを中心に研究が行なわれた。(1)ニュートンとライプニッツの無限小解析、および、その哲学的批判者たちの議論の検討(池田)(2)集合論の公理化の沿革の哲学的評価(藤田)(3)現代の数学基礎論において連続体の論理的代替物として研究されている2階の自然数論および実閉順序体の理論の現状の分析(菊池)(4)証明や計算、構成といった概念の数学的定式化についての論理学的および哲学的考察(菊池・黒川) 今後重要な意味をもつであろう思潮として、量子計算の分野から「量子力学は情報の物理学である」「計算とは量子計算のことである」といった考え方が興ってきていることに注目し、意識や連続体の研究とこうした考え方との関連性を検討を始めている。 これまでの藤田の実績をまとめたものとして、連続体の数理に密接に関連する位相数学の基礎概念を概説した書籍を藤田が出版準備中である。この書籍においては、位相数学の諸概念をあえてイデア的なものと位置づけ、図形的・直観的なイメージの世界と抽象的な論理の世界の往還をテーマとして解説している。しかしながら本研究の目的である「連続体の哲理の歴史的展望の上に立って最先端の集合論研究との対話を重ね、集合と連続体の数学と哲学の新たな可能性を見出すこと」については、なお端緒についたばかりと言わねばならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により研究者相互の交流や研究のための会議の開催が著しく困難になっている。とくに調査および討議のための旅費は使いようがない。現在は各研究者がそれぞれの課題について検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の進捗が望まれる課題として(a)日本において数理論理学のほとんどすべての分野と数理哲学に多大の貢献をなした竹内外史の業績のさらなる分析(菊池・黒川)および(b)認識論や心の哲学、時間と空間の物理学の研究者との討議を通じた、連続体の数学的定式化の再検討(藤田・池田)が考えられる。これらについてオンライン会議を開催して方策を協議することとする。
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Causes of Carryover |
令和2年度、令和3年度とも、出張旅費が使えなかったため支出が過少となった。令和4年度以降は、新型コロナウィルスの感染状況を的確に判断し、感染予防対策を徹底しつつ、可能な限り対面での研究打ち合わせおよび学術会議を実施したい。
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