2021 Fiscal Year Research-status Report
Social Ontology for Institutions
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20K00011
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
倉田 剛 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (30435119)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 制度 / 社会存在論 / 規範 / 概念分析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インフォーマルな慣習からフォーマルな法規範までを含む「制度」（institution）の概念を、現代形而上学の一分野である「社会存在論」（social ontology）の観点から包括的に考察することをその目的とする。とりわけ研究代表者は、〈ルールとしての制度〉と〈均衡としての制度〉という二つの代表的制度観を調停しようとする近年の試みに対して、何らかの学術的寄与を成すことを目指している。
本年度の研究実績は、主として哲学的制度論の方法論に関する2つのテーマ、すなわち(1)概念分析と(2)推論に関するものである。前者(1)については、2021年10月31日にオンライン開催された哲学会60回研究発表大会（シンポジウム：〈分析哲学〉とはなんであったのか）における提題発表「概念分析再考」の中で、その成果を公表した。そこでは、制度への経験科学的アプローチに対して、哲学における「制度」概念の分析がいかなる意義をもちうるのかが検討された。（なお、この発表内容は2022年度に論文として公刊されることが決まっている。）後者(2)の成果の一部は、著書『論証の教室〔入門編〕インフォーマル・ロジックへの誘い』（新曜社、2022年3月）として出版された。この著書では、哲学的制度論（社会存在論）が依拠する論証（推論）形式の詳細を、演繹とアブダクション（最良の説明への推論）の双方から解明することを目指した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は哲学的制度論の基礎あるいは「方法論」に関する議論に思いのほか多くの時間を費やしてしまった。その成果は部分的ではあるが、哲学会60回研究発表大会のシンポジウム：「〈分析哲学〉とはなんであったのか）」における提題発表「概念分析再考」（2021年10月）、および著書『論証の教室〔入門編〕インフォーマル・ロジックへの誘い』（新曜社、2022年3月）の中で公表された。前者の発表の際には、シンポジウムの他の提題者（飯田隆氏と鈴木貴之氏）、並びに司会者（戸田山和久氏）の方々と意見交換を行い、従来の分析哲学における方法論（概念分析）の問題点をあらためて確認するとともに、それを、根拠に乏しい批判から擁護する必要性を痛感した。後者においても、社会科学における制度論の推論形式を詳細に検討することで、概念的な探求としての哲学的制度論がもつ推論形式の意義を見直すことができた。
このように、方法論に関する研究に多くのエフォートを割いてしまったため、当初の計画通りに研究を進めることはできなかった。しかしながら、今年度の研究は、研究課題全体にとっては非常に重要であり、今後の研究課題の遂行にとって大きな意味をもつと確信している。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、哲学会60回研究発表大会のシンポジウムにおける提題発表「概念分析再考」（2021年10月）が学術論文のかたちで公刊されるほか、7月には、若手哲学研究者フォーラムのテーマレクチャー「社会存在論」において、当該タイトルで招待講演を行うことになっている。
また、8月にはISOS (International Social Ontology Society)が主催する年次大会（ウィーン、オーストリア）で"Rethinking a Unified Social Ontology"という発表を行うことが決まっている。この発表においては、本研究課題である制度の社会存在論的な考察がなされる予定である。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、学会や研究会がリモート開催になったため、出張費として予定していた予算の一部を次年度に繰り越すことにした。
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Research Products
(2 results)
