2023 Fiscal Year Annual Research Report
Social Ontology for Institutions
Project/Area Number |
20K00011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
倉田 剛 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (30435119)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制度 / 付与主義 / 集合的責任 / 制度的責任 / 社会存在論 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 2024年度中に出版予定の著書『社会存在論』(勁草書房)の執筆において進捗が見られた。とくに制度に関するサールの標準モデルと、フェミニスト形而上学者として知られるアスタの「付与主義」(conferralism)との比較検討を行う章の中で、後者の理論は、フォーマルな制度的性質(「日本の首相である」など)と、権威が介在しない共同社会的性質(communal property)の双方を統一的な枠組みで説明しうる点でより優れた側面をもつものの、それらの性質を基礎づける(形而上学的に根拠づけるground)基本性質(base property)の扱いに関して難点をもつという結論を得ることができた。 (2) 社会存在論の重要なトピックスのひとつである「集合的責任」(collective responsibility)の概念を、フォーマルな意思決定構造をもつ制度体(国家、会社、大学など)と、インフォーマルな制度(慣習)に支配された集団(「緩く構造化された集団」町内会、メディア業界など)との区別にもとづいて、明確化することができた。その成果は単著「集合的責任――戦後責任についての試論」(校正作業中、『ひとおもい』6号、東信堂、2024年7月刊行予定)として公表される。 (3) 社会存在論としての制度理論の基盤、すなわち制度の「存在」に関連する基礎研究を行った。その成果は単著「分析哲学における存在の問題」(校正作業中、中畑正志編『新版 哲学を学ぶ人のために』世界思想社、2024年10月刊行予定)として公表される予定である。
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Research Products
(2 results)