2023 Fiscal Year Annual Research Report
Philosophy in British and America on Idealism and Realism at the Turn of the Century
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20K00015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
染谷 昌義 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 博士研究員 (60422367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 暢人 中央学院大学, 現代教養学部, 教授 (70339646)
小山 虎 山口大学, 時間学研究所, 准教授 (80600519)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実在論 / 観念論 / 世紀転換期 / 英米哲学 / 新実在論 / 批判的実在論 / 英国実在論 / 認識関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本最終年度(2022年度から研究期間を1年延長)は、2020年度からの研究成果を論文集としてまとめることを目標とした。代表者と分担者2名とで論集の概要・方針・様式の原案をつくり、協力者5名を加えたメール会議を経た後、各自が予定している論考の概要を持ち寄って2023年6月にオンライン上で合同会議を実施した。その後9月半ばに事前に提出された草稿をもとに2日間の検討会を実施した。検討にあたっては、各自が研究対象としている世紀転換期(1880年から1930年の約50年間)の哲学者や哲学的論争・問題が実在論・観念論論争の文脈でどう位置づけられるか明確になるよう留意した。検討会後に書き直された原稿にもとづき、2024年3月に特定非営利活動法人ratikより『世紀転換期の英米哲学における観念論と実在論』を刊行した。電子版はwebページhttps://ratik.org/11290/907438647/から無償ダウンロードができる。論集は、英国(ムーア、ボザンケ、ブラッドリー)、米国(ホルト、スポールディング、ロイス、ナーゲル)の実在論・観念論の哲学者を取り上げているが、世紀転換期の文学や教育に及ぶ実在論や観念論の影響に触れた論考もあり、守備範囲は広い。 各研究分担者・協力者が過年度の定例研究会で発表した内容のうちのいくつかは、関連学会や学会誌等に発表された。 本研究は、少なくとも本邦ではあまり知られてない哲学史を、実在論・観念論論争を軸に、その内実や現代的意義を明らかにしようとしてきた。研究方法は一次文献・二次文献の地道な読解が基本となる。この作業には現代の哲学的思考を相対化できる力がある。本研究に携わった分担者・協力者は、研究期間にわたる学会等での発表や成果論文集において、この点を発信してきた。今後も続く研究の轍を作ったということが本研究全体の成果と言える。
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