2021 Fiscal Year Research-status Report
「永遠の哲学」の研究 -フィチーノからライプニッツまでー
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20K00018
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
枝村 祥平 明治大学, 経営学部, 専任教授 (50725588)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 永遠の哲学 / ケンブリッジプラトニスト / ライプニッツ / 比較思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はケンブリッジプラトニストの研究およびライプニッツの研究を重点的に行った。ケンブリッジプラトニストに関しては、レイフ・カドワースの研究を中心にしている。彼は永遠の哲学の伝統において、ヘンリー・モアと共にモーセの重要性を強調し、モーセにおいて粒子論的な哲学、近代に復興された合理的な自然哲学が見出されると主張し、優れた宗教哲学と近代の合理的な自然哲学の両立を図った人物である。のみならず、神の永遠の知性において正義が基礎づけられているということを主張し、ホッブズらの主意主義を論難したのであった。ライプニッツはそのケンブリッジプラトニストたちの思想を引き継いで、主知主義の安定した世界観を西洋において保持しようと努力し、さらに同様の哲学を古代儒教に見出したということができるが、その詳細も本年度研究することができた。またライプニッツが、永遠の哲学の伝統に属する人物たちをどう論じてきたかということを、初期から後期に至るまでのテキストで詳細に確認することができた。具体的には、ゾロアスター、ヘルメス、ピュタゴラス、プラトン、アリストテレス、プロティノス、プロクロス、フィチーノ、ピコ、ステウコ、ド・モルネーといった人物の扱いである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究計画を申請した時には、2年目にケンブリッジプラトニストの研究を行い、3年目にライプニツの研究を行うと書いていた。しかしながら2年目となる本年度は、ケンブリッジプラトニストのみならず、ライプニッツに関する研究もなすことができたので、予定よりも進んでいるということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はライプニッツの中国論をより詳細に詰めていきたいと思う。そしてそれだけではなく、ケンブリッジプラトニストの一人であるへンリー・モアの哲学的詩も研究し、それが主知主義と反主知主義のはざまにあるものとして重要であることを示したい。さらに、当初の研究計画に盛り込んでいなかったが、ライプニッツやモアなどが議論下敷きとしている古代哲学そのものについても、簡易でもいいから整理していきたいと思う。これらは、いずれ一つの単著に結実する研究となるであろう。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、海外の著名な学者を招くことができなかった。その分、招待費用がかかることがなかったので、次年度使用額が生じてしまった。2022年度に、どの程度そうした招待が可能であるか、状況をみていきたいと思う。
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Research Products
(3 results)