2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00022
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
鈴木 俊洋 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (80645242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 厚作 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 講師 (60912467)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 専門知 / 暗黙知 / 熟練知 / 技術哲学 / 技術倫理 / 農業技術 / ポスト現象学 / AIの倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究の2年目にあたる2021年度(令和3年度)は、農村社会学を専門とし、熟練農家へのフィールド調査の経験を持つ藤原厚作が分担研究者としてプロジェクトに加わった。 フィールド調査に関しては、2020年度に引き続きコロナ禍で移動や活動が制限されるなか、11月~12月の短い期間の調査可能期間中に、山形の伝統工芸職人への予備調査を実施し、本調査に向けて具体的な計画を立てることができた。(1月~4月にかけて予定していた本調査は感染状況が悪化したため、延期になっている。) 文献調査と概念的考察に関しては、研究代表者の鈴木と分担研究者の藤原は、概ね週1回程度のペースでオンライン会合を実施し、社会学的な熟練知の考察や調査のあり方、スマート農業技術のようなAI技術と熟練知の関係などについて研究会を行った。その成果を、藤原・鈴木の共同での口頭発表(「見えなくなる農薬」〔科学技術社会論学会・第20回年次研究大会〕)で発表した。(同発表内容は、学術論文として現在、同学会の学会誌に投稿中である。) また、鈴木は、農業技術と技術哲学の接点についての考察を、2編の論文(「『スマート農業』は何を目指すのか」、「農業技術に同行する倫理学」〔『文部科学教育通信』519号、520号〕)として、AI技術の倫理についての考察を、1回のシンポジウム発表(「ポスト現象学とAIの倫理学」〔北海道哲学会シンポジウム『AIの倫理学・その問題圏の検討』〕)として、藤原は、農業技術の文献考察の成果を、1編の書評(「野田公夫著『未来を語る日本農業史―世界のなかの日本―』」〔『農林業問題研究』57-2〕として公表した。その他に、鈴木は、近年の科学社会学的な専門知論の重要な成果である、ハリー・コリンズとロバート・エヴァンズの共著『民主主義が科学を必要とする理由』の邦訳書を単独訳で公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度(令和3年度)も、2020年度に続きコロナ禍による移動と活動の制限のため、特にフィールド調査に関わる研究の進捗は当初の計画から大幅に遅れた。 フィールド調査に関しては、10月から11月にかけての調査可能期間に、山形の仏壇職人への予備調査を実施し、本調査の具体的な計画を立てることができた。しかし、1月~3月にかけて実施する予定であった調査は感染状況に悪化によって現在延期している。 文献調査や概念的考察による考察枠組みの形成に関しては、研究代表者の鈴木と分担研究者の藤原で、週一回程度のペースでオンラインでの研究会合を持ち、農業技術と熟練知の関係や、共同体における熟練知のあり方などについての考察を進めた。フィールド調査が実施できないなかで、本来、フィールド調査の成果をふまえて進められるはずであった考察枠組み形成は限定的にしか進められていない。 国内外での成果の発表については、文献調査と概念的考察に基づく成果を、いくつかの論文や口頭発表として発表することができたが、本研究課題の主要なテーマである、熟練工や職人を対象とするフィールド調査の成果を発表することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度(2021年度)末に実施予定であったものの、コロナ禍による制限で延期になっているフィールド調査(山形での伝統工芸職人の調査)は、スケジュールを再調整した上で、可能になり次第、2022年度内に実施する予定である。 フィールド調査に関しては、既にかなり研究の進行が遅れているが、伝統工芸職人の調査とあわせて、熟練農家のフィールド調査先の検討と、実際の調査についても、2022年度内に実施する予定である。 文献調査と概念的考察による、熟練知の考察枠組みの形成について、フィールド調査の遅れに伴い遅れているが、2022年度は、当初予定から一年間遅れて、考察枠組みの完成とフィールド調査の成果を踏まえた枠組みの彫琢を目指す。 2021年度より、研究分担者として、農学分野の研究者で農業関連のフィールド調査の豊富な経験を持つ藤原厚作が加わった。山形での伝統工芸職人の予備調査により、藤原は、主に熟練的職人と共同体のあり方の関係性という具体的研究テーマを設定し、今後フィールド調査を実施する予定である。また、今後も2021年度と同様に、鈴木と藤原は、オンラインでの研究会合を週1回程度の頻度で開き、共同での発表や論文の執筆などを行なっていく予定である。 コロナ禍による移動や活動の制限による大幅な研究の遅れのため、1年間の研究期間の延長(2023年度まで)を視野に入れて3年目(2022年度)の研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における移動と活動の制限のため、計画していたフィールド調査を実施できず、それに伴って研究全体の進行が計画よりも大幅に遅れていることから、次年度使用額が生じた。2022年度は社会情勢を見ながら、フィールド調査を中心に研究を進めて行くが、場合によっては、1年から2年程度の研究期間の延長申請を考えている。
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