2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00022
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
鈴木 俊洋 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (80645242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 厚作 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 講師 (60912467)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 技術哲学 / 専門知論 / 技術倫理学 / 暗黙知 / スマート農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度(令和4年度)前半は、前年度に続いてコロナ禍による規制の中での研究活動が続いたが、2022年度後半になり、対面でのフィールド調査も可能となり、学会の開催状況も概ねコロナ禍以前の状況に戻った。 フィールド調査に関して、2月になり感染状況が穏やかになるのを待って、鈴木と藤原とで、岡山県のスマート農機を使用する熟練農業者に予備調査を実施した。文献調査と概念的考察に関して、研究代表者の鈴木と分担研究者の藤原は、概ね週1回程度のペースでオンライン会合を実施し研究会を行った。 これまでの研究の成果が、鈴木の1編の論文と、国内学会での3回の口頭発表として公表された。鈴木は、論文「技術の同行する倫理学―新しい技術哲学の枠組み―」〔『科学・技術研究』519号、520号〕において、近年の技術哲学が提唱する「技術に同行する倫理学」の構想を具体的に提示した。この枠組みは、本研究プロジェクトの基本的枠組みとなるものである。また、鈴木は、口頭発表「数学の現象学と専門知論」において、数学的直観についてのこれまでの哲学的考察を専門知論の枠組みで捉えた考察を提示し、口頭発表「科学論の第三の波と技術哲学」において、科学と民主主義との関係について専門知論の立場から論じ、口頭発表「遠隔操作技術の哲学―間接的操作と専門知」において、遠隔操作の技術について専門知論枠組みから捉えるとどのように見えるかを提示した。さらに、鈴木は、機械学習に関する入門書(『予備知識ゼロからの機械学習―最新ビジネスの基礎技術』)の翻訳に共同訳者として貢献した。 また、2023年度において、鈴木と藤原との2名の共著の論文を1編公刊する予定(査読済)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度(令和4年度)は、延長されて4年間となった研究期間のうち、3年目にあたる。2022年度も前半においては、2021年度に続き、コロナ禍による移動と活動の制限のため、特にフィールド調査に関わる調査はできなかった。9月以降、学会の開催も徐々に通常(対面開催)に戻り、年度末には、フィールド調査の制限も多少緩和され、感染対策をした上で実施は可能となった。 フィールド調査に関しては、年度後半になるまでコロナ感染状況が不安定であったが、2月に、岡山県のスマート農機を使用する熟練農作業者への予備調査を実施し、今後実施する本調査の具体的な計画を立てることができた。 文献調査や概念的考察による考察枠組みの形成に関しては、技術哲学の枠組みを参照にして、「技術に同行する倫理学」の枠組みを、専門知論の考察を踏まえて具体的に形成することができた。 国内外への成果の発信については、主に文献調査と概念的考察に基づく成果を、国内学会や国内雑誌において、口頭発表や論文として発表した。コロナ禍による制限がほぼなくなると予想される2023年度においては、国際学会での複数回の口頭発表(2件はエントリー済)と、共著論文の公刊(1編は査読済)とを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度(令和5年度)は、延長されて4年間となった研究期間のうち4年目(最終年度)にあたる。コロナ禍による研究活動の制限がほぼなくなることを前提として、延期になっているフィールド調査(山形での伝統工芸職人の調査やスマート農業の調査など)を、スケジュールを再調整した上で、2023年度内に可能な限り実施する予定である。フィールド調査に関しては、既にかなり研究の進行が遅れており、限られた研究期間において調査を選別する必要が生じている。伝統工芸職人の調査とあわせて、熟練農業者のフィールド調査先の予備調査を実施した結果、2023年度は、スマート農機を使用する熟練農業者の調査を優先して、岡山県や兵庫県での調査を実施する予定である。 文献調査と概念的考察による、熟練知の考察枠組みの形成について、2022年度までで、基本的枠組みの形成は終えた。今後は、考察枠組みの詳細の完成とフィールド調査の成果を踏まえた枠組みの彫琢を目指す。 国内外への成果の発表について、2023年度は、複数回の国際学会への参加(1回は招待発表、1回は既にエントリー済かつ要旨査読済)と、複数編の論文の執筆(1編は査読済)を予定している。 コロナ禍による移動や活動の制限による研究の遅れがあったが、延長された1年間の研究期間(2023年度)のうちに可能な限り予定された研究を遂行するつもりである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における移動と活動の制限のため、計画していたフィールド調査を実施できず、それに伴って研究全体の進行が計画よりも大幅に遅れたことから、次年度使用額が生じている。2023年度は、研究や学会参加の制限が解除されることを前提に、フィールド調査を中心に研究を進め、フィールド調査や成果発表の機会を多く持つ予定である。
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Research Products
(5 results)