2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of the Correspondence Theory of Truth Based on Partial Truth
Project/Area Number |
20K00028
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加地 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50251145)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 部分的真理 / 真理の時間主義 / 時制論理 / 時間的実在論 / 哲学的論理学 / 分析形而上学 |
Outline of Annual Research Achievements |
論文「時間的実在論における真理の時間性について(1)」において次のような考察を行った。 まず永久主義・(狭い意味での)時間主義・相対主義という、真理の時間性に関する三つの意味論的立場の異同について分析した。その結果、時制表現の指標性を根拠として命題の意味内容を変化させたうえでその真理値は固定する永久主義に対し、意味内容を固定させたうえで真理値を変化させる(広い意味での)時間主義が対比され、さらに後者のうちで、評価者への真理値依存性を認める相対主義と、それを認めない非指標的文脈主義としての(狭い意味での)時間主義が対比された。以上を踏まえ、次にこれらのうちの永久主義のひとつの拠り所となっているG.エヴァンズの時制論理批判の妥当性について批判的に検討した。その結果、エヴァンズは時制論理における真理の時間性を不適切な形で解釈していること、そしてその不適切さは、現在世界を一世界内の一文脈としてではなく現実世界と同様の完結した世界として捉える現在主義者A.N.プライアーの時間的実在論に対する無理解と、様相論理における現実性についての誤解とに由来することを示した。 以上の考察により、部分的真理を要請する重要な要因のひとつである真理の時間性の根幹を具体的な形で確認することができた。 これに加えて、本研究が属する「哲学的論理学」・「分析形而上学」という研究分野のうち、前者への入門書である『論理学の驚き:哲学的論理学入門』(教育評論社)を上梓するとともに、日本科学哲学会の依頼により、後者に属する『虹と空の存在論』(飯田隆著)の書評を学会誌『科学哲学』に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
部分的真理を要請する重要な要因のひとつである真理の時間性の根幹を具体的な形で確認することによって、真理の時間的対応のあり方について考察する準備ができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、対応説的な部分的真理に基づく部分論理の体系の構築が一つの重要な課題となっている。部分論理を採用する理由としては形而上学、認識論、言語哲学、情報論、科学論など様々な分野にまたがる多様性がある。そしてその多様性に応じて、その構文論、意味論、証明論にも多数の選択肢が発生する。実体的対象を基礎的存在者として認定する「実体主義的形而上学」の観点から要請される部分論理は、どのような観点のもとでどのような選択を行うべきであるかを、まずは検討していく。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた出張ができなかった。今年度はそれを実施したい。
|
Research Products
(5 results)