2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Dynamic Character of the Normative Status of Belief and Its Relationships with Epistemic, Practical, and Moral Reasons
Project/Area Number |
20K00033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笠木 雅史 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (60713576)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認識論 / 知識 / 合理性 / 阻却要因 / 認識的規範 / 知識帰属 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の実績として、発表4回(国内学会1回、国際学会3回)を行ったほか、英語の書籍を単独で翻訳し、刊行した。 翻訳に関しては昨年度から行っていたが、本年度に修正の上、刊行することができた。刊行したのは、英語圏で最新の研究までカバーしたことで定評のある認識論の入門書である、Duncan Pritchard, What is This Thing Called Knowledge, 4th Edition. Routledge, 2018である(翻訳は、『知識とは何だろうか:認識論入門』, 勁草書房)。本翻訳書の刊行により、本研究に関連する先行研究を日本語圏に紹介することができた。 発表を通じて明らかにした成果は、主に3点である。第一に、従来の認識論で扱われてきた阻却要因は、信念の認識的合理性を阻却するものだと考えられてきたが、阻却要因はむしろ知的探究活動の実践的合理性を阻却するものだということだと指摘した。第二に、信念の阻却要因がどのように機能するのかという点に関して、阻却要因は信念が知識であることを否定すると考える説が最も包括的であるという(前年度でも述べた)議論を、さらに補強できることを示した。第三に、知識帰属がどのように否定されるのかという点について、現代日本語の用法から考察する言語分析的研究を行い、知識の帰属・否定への文化や言語の影響を指摘した。 このうち、従来から展開していた第二の成果と今回新たに行った第一の成果には、完全に整合しないという問題点がある。しかし、この点はむしろ、第一の成果によって、第二の成果の問題点を克服するという形で解消可能だと考えている。今後は、この点についてさらに研究を進めるとともに、これまで発表した成果を論文化し、専門誌に投稿を続ける。
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[Book] 知識とは何だろうか2022
Author(s)
ダンカン・プリチャード(笠木 雅史・訳)
Total Pages
352
Publisher
勁草書房
ISBN
978-4-326-10311-9